博士号取得までの経緯について、取得によって得られたと感じたこと等を発信し、少しでも検討している方の一助になることを目的とした記事です。
作業療法士になり博士号を取得した訳【Part 1】は、こちらからご覧下さい。
臨床で湧いた疑問に対する解釈に「+α」を加えることを試みる
大学へは、大学3年生への編入となりました。
大学3年生では、週一日、履修科目の講義を受けながら、地域の病院にて臨床を行う日々を過ごしました。
臨床では、自分なりに対象者の方と向き合いながら、様々な論文にあたるとともに、症状とのマッチングを進めていきました。手技をはじめ、治療コンセプトなどに関する講習やセミナーにも毎月のように参加していました。
正直、この時、脳へのモチベーションは、スケジュールに追われながら過ごしている中でおざなりになっていたように思います…(恥)。
ところが、4年生になり卒業論文のために脳と向き合う機会はやってきました。
この時の私は、骨折によるギブス固定後のリハビリに関わりながら、「力が入れにくい」という訴えに対して、筋肉の廃用が起こってるんだという短絡的な考えを巡らせていました。
また、それ同時に、将来的にリハビリテーション期間が短縮されるという情報が話に上がってきていたので、
「リハビリテーションとして期間短縮にどのように関わることができるだろう?」
「動かす前にリハビリをするような、違う視点から介入ができないか?」
ということを考えていました。
「筋肉」の廃用予防から、「脳」の廃用予防という視点へ
そんな中、「関節を固定し、動かさないことで、脳の活動が低下する」という論文に出会いました。
筋肉という体を動かすソフト部分である「筋肉」だけでなく、ハード部分である「脳」にも廃用が生じるということでした。
リハビリテーション医療の根本である、活動が機能・構造を形作っていくという「活動機能構造連関」を鑑みれば、当然のことだろうと思います。しかし、当時の私には考えが脳までは及んでいなかったので、とても刺激的な論文だったことを記憶しています。
この論文と出会い、脳へアプローチする意義を再確認した私は、
続いて「具体的にどのようにアプローチしていこうか?」ということに取り掛かりました。
すると、スポーツ分野ではすでに取り入れられていた”実際の運動をイメージすることが、実際の運動と同じ脳の部位を活動させる”ことを知りました。
介入策を見つけた!と嬉しくなった一方で、
ちゃんとイメージできているかは、どうやって確認したらいいの?
という疑問も湧いてきました。
そこで、「脳に聞いてみよう!」と考え、臨床の疑問への対策が脳計測に結びついていきました。
実際の運動と、運動イメージでは同じ脳の部位が活動するのであれば、脳を測って確認してみたら分かるのではないかという単純な発想です。
研究開始から国際学会へ
そのような流れで、卒業研究では、運動イメージ中の脳活動に取り掛かりました。
しかし、計測したは良いものの、当時の大学では脳計測をメインにして取り組んでいる先生はおらず、解析手法は手探り状態でした。
卒業論文に関する解析をなんとかやり遂げなくてはならないと血眼になった私は、外部セミナーへの出向いて知識を蓄えていく行動に出ました。
この行動が、私の今後に大きな影響を与えることになりました。
まず初めに、外部セミナーで縁ができたことにより、卒業論文と同じテーマで再度計測・解析をやり直した上で、国際学会で発表する経験を積むことへとつながっていきました。
Oka N, et al. 2008.
Brain activity during voluntary movement and exercise imagery using Near-Infrared spectroscopy (NIRS).
NeuroImage Vol 41, Supplement 1.
「行動が実を結ぶこと」を身をもって体験した期間でした。
>> 続き【Part 3:最終回】は、こちらからご覧ください
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