24歳の悪夢
2009年という年を私は忘れることができません。
私が24歳のときです。
精神科にはそれ以前からもお世話になっていましたが、
2009年を境に、私の人生が大きく変わりました。
当時私は銀行につとめていましたが、
これでは仕事にならないと言われて、家で休むように指示されていました。
というのも、
皆があまりにも私を監視して嫌がらせをしてくるので、怒りに震えて、徹底的に戦いを繰り広げていたからです。
(大分たってから、それは私の病気の症状だったのだと知ることになります。)
具体的には、聞こえてくる悪口には言い返し、支店長には皆の策略がいかに巧妙で卑劣なものであるかを語りました。
(悪口は私の幻聴だったと思われます。皆の策略も私の被害妄想でした。)
話が全然通じなかったので、支店長も敵だと考えました。
そして人事に電話して抗議をした結果、家で休むことになったのです。
休んだその日の出来事
その日の夜、
私は誰もいないはずの部屋で、行員の話し声を聞きました。
気のせいなんかではありませんでした。
はっきりと聞こえるのです。
笑い声も。
私は、その時悟りました。
「銀行め!私が寝ている間に私の耳になんか仕組んだな!」
今では笑い話ですが、相当精神的に参ってると、何が起きても被害的な考え方しかできなくなります。現実を正しく認識できなくなるのです。
しかも、あまりにはっきり聞こえる行員の話し声は、幻とか幻覚の域を越えていました。
私の耳に何か細工された!と私は思ったのです。
あちこちにある監視カメラ
でも、疑問が残ります。
どこに監視カメラが隠されているんだろう?
私を監視しているのは行員だけではありませんでした。
テレビから流れてくる情報は、まるですべてが私の気持ちを代弁し、私に向けられているように感じました。
本当によく私のことを観察していました。
そして道路で何色の車を見ても、自分を追いかけてきているように感じました。
必死でナンバーを覚えようとしているうちに、まるでナンバーが私へのメッセージのように感じました。
51-○○というナンバーだったら、どこかに向かえと言ってるかのような錯覚をし、
そこに向かわなくちゃ何かひどい目に合うと考えました。
恐怖の作為体験
最終的には、「作為体験」をすることになります。
私が部屋にいると、なんだか気配がします。
気配といっても、普通の気配と違います。
私の脳の中に、私とは違う人格がいるのです。
男性でした。
そして、なんだか私に話しかけたそうにしています。
わかるのです。
どうしたらいい?
と思ったとき、その男性が私の右手を使ってペンを持ち、しゃべりだしました!
しゃべった内容はここでは触れませんが、
こんな意味の分かんないむちゃくちゃな体験をしたのは人生で初めてでした。
最初、私はこれらの体験を「銀行のいやがらせ」だと理解していました。
しかし、いろんな人から「病気だから」と説得されて、ようやく、私は病気だったんだと思えるようになりました。
幻覚といってもあまりにリアリティがありすぎて、しかも精神的に参ってると、本当にいやがらせと勘違いします。
私はこの巧妙なあまりにも非人道的ないやがらせをお医者さんに説明するのに苦労をしていましたが、お医者さんは私の病名をしっかり見抜いていました。
(「統合失調症」です。)
その上で、思考が壊れていない部分があるよね、とおっしゃってくれたのを覚えています。
病気から抜け出せた理由があるとしたら、
薬と、病識、客観性、論理性です。
さいごに
今回私の体験をお話したのは、何か参考になる方がおいでるのではないかという思いからです。
医療や福祉の分野で携わる方で、もし私のような体験をしている患者の方がいたら、その方が病識を持てるように支援をしていただきたいと思います。
最初はかたくなに被害者意識を膨らませる方もおいでるかもしれませんが、
客観的で適切なものの見方や考え方を伝えないと、大変なことになります。
統合失調症当事者の方で、私のように監視カメラやいやがらせに悩んでる方がおいでたら、
私が「それは病気だよ!」と保証します。
私も最初は病気だと思えませんでした。リアリティ以外の何物でもありませんでした。
当事者の方には頑張って薬を飲んで、周囲の皆さんの「現実の」声に耳を傾けてほしいと願う次第です。
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