精神科訪問看護

精神科訪問看護の大切な7つの役割

2016.9.2 訪問看護のこと, 在宅医療
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昨今の入院医療から在宅医療へのシフトは「高齢者」だけではありません。

下図(参照:厚生労働省)のように全ての病床数は年々削減傾向にあります。

もちろんその大きな割合を占めるのは「一般病床」ですが、日本は「精神病床」も非常に多く、日本では「精神病床だけ」で約2割を占めており、社会保障費を圧迫している現状があります。

 

スクリーンショット 2016-09-03 9.30.30

参照:厚生労働省

 

その中で、精神科の在宅医療を担う、精神科訪問看護は年々ニーズが増しており、精神科患者の在宅支援において、必要不可欠なものになっております。

 

今回はその精神科訪問看護の7つの重要な役割についてお伝えします。

  1. 再発・再入院の防止
  2. 患者様の自立
  3. 生活支援・生活リズムを整える
  4. 社会資源活用支援・社会復帰にむけてのサポート
  5. 服薬の説明・サポート
  6. コミュニケーションによる病状の観察
  7. 地域医療の要として

役割その1 再発・再入院の防止

精神科の患者様の中には、退院後に外来受診をしっかりと受けない方も多いようです。

例えば私が罹患した統合失調症という病気では、症状が重い方の中には、
幻聴・幻覚がひどく怖くて外に出れない方もおいでると思います。
もっとひどい場合だと、心身をあやつられて(作為体験、といいます)外出できない方もおいでます。
他にも外に出るのが怖い、人に会うのが怖いなど、いろんな事情から外出できない方がきっとおいでると思います。

症状の悪化→外来受診ができない→更なる症状の悪化 と、悪循環になり再発・再入院ということがありえます。
定期的に在宅訪問し、内服管理の支援をし、再発・再入院の防止と在院日数を減らすはたらきをするのが、精神科訪問看護です。

 

役割その2 患者様の自立

訪問看護の本来の目的は患者様の自立であり、精神科も同様です。

精神科における自立においては

 

・服薬管理の自立

・ADL(日常生活動作)、IADL(手段的日常生活動作)の自立

 

が特に重要となります。

 

役割その3 生活支援・生活リズムを整える

「夜眠れない」

「日中眠気がある」

 

などの主訴は多くの精神科患者が抱える問題です。不眠傾向が継続してしまうと不穏状態となりやすく、症状も悪化する傾向にあります。

生活リズムが整わなかったり、日常生活(衣食住の場面)において不都合が生じている場合の支援、相談を行います。

 

役割その4 社会資源活用支援・社会復帰にむけてのサポート

社会資源とは、利用者がニーズを充足したり、問題解決するために活用される各種の制度・施設・機関・設備・資金・物質・法律・情報・集団等のことです。そういった社会資源と患者様の架け橋となります。

その為、精神科訪問看護で関わる看護師、作業療法士、精神保健福祉士は職種問わず、様々なフォーマル、インフォーマルなサービスを熟知しておく必要があります。

 

役割その5 服薬の説明・サポート

役割その2 と重複しますが、

患者が決まった時間に服薬出来るように支援したり、副作用の観察と早期発見を行います。

精神疾患者において、「薬を飲むこと」「飲み続けること」がまず第一の症状の安定と生活の質を高める方法であるため、自己判断で服薬中止をしないよう、密な援助が必要なことがあります。

 

「そんなに重要な薬なのに、なんで勝手に中止しちゃうのか」

 

と疑問に思われる方もいるでしょう。

しかし、精神疾患者においては

 

「病識の低さ」・・・自分がそもそも病気だと認識できていない。または、治った!と自己判断してします。

「副作用の重さ」・・・体重増加、口渇感、倦怠感、、、薬の種類にもよりますが、副作用が明らかに生じる薬が多い。

 

以上のことが原因で薬を拒否、中止してしまうことが本当に多いのです。

 

役割その6 コミュニケーションによる病状の観察

精神科訪問看護では、何か医療措置を行うというケースは少なく、むしろ
患者様とのコミュニケーションが大事になってきます。
コミュニケーションを通して、患者様の状態に変化がないかを確認するのです。
患者様の中には孤独になりがちな方も多く、

家族がいらっしゃる場合も、接し方がわからないということで、ほとんど接していないことがあります。

それが症状を悪化させる要因になっていることがあるのです。

精神科訪問看護の対象は患者本人だけでなく、同居されている家族も支援の対象となります。

訪問看護で患者本人と家族の間を取り持ち、双方が良好な関係を築けるよう医療者視点から助言することが大事になってきます。

 

役割その7 地域医療の要として

最近は「相談支援員」という、高齢者の介護保険サービスのようにサービスの中心となるケアマネージャー的な存在が担当になっているケースがありますが、障害福祉サービス等を利用していない場合であれば、精神疾患者における在宅医療では「訪問看護師」が中心になって、その患者を支援することも多くあります。

その為、主治医、医療機関との連携だけでなく、様々な職種と連携するための「連携力」が必要となります。

他職種連携が叫ばれる中、精神科に限らず、訪問看護は地域医療において中心的な役割を果たしていくでしょう。

 

 

いかがでしたか?

参考にして頂けたら幸いです。

 

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