福祉用具レンタル業で独立開業するために

2015.11.20 キャリア
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福祉用具貸与業という仕事があります。読んで字のごとく、福祉用具を貸与(レンタル)するビジネスです。車いすやベッド、移動用のリフトなど、買うとなかなかのお値段なので、一時的に使う場合はレンタルで済ますという方も多いです。

福祉用具のレンタルは介護保険の対象で、自己負担は1割。利用者としても保険を使って安くレンタルできるので、レンタルの需要は高まっています。

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(西海市HPより)

この福祉用具レンタル事業を始めるには、何が必要なのか、簡単にまとめてみました。

福祉用具貸与(レンタル)の開設要件

介護保険の適用となるためには、「指定居宅介護支援事業者」となる必要があります。この「指定居宅介護支援事業者」になるためには、以下の要件があります。

要件1 申請者が法人格を有すること

法人格とは、いわゆる会社組織です。株式会社、合同会社、NPO法人や社会福祉法人などが法人です。個人事業では福祉用具貸与(レンタル)・販売の指定を受けることができないので、今から新しくビジネスとして参入するためには、会社を設立する必要があります。

すでに会社組織がある場合は、『定款の事業目的』と『登記簿に記載されている事業目的』を確認し、変更する必要があれば変更の手続きを取ります。

定款の事業目的に、「介護保険法に基づく福祉用具貸与事業及び販売事業」のような、「介護保険を利用して福祉用具貸与事業及び販売事業をする旨」が含まれてないとダメなので、なかった場合は追加しましょう。

要件2 人員基準の確保

福祉用具貸与(レンタル)では、必要な人員が定められています。

管理者

専従で常勤の方1名を管理者として配置する必要があります。

管理者となるために必要な資格というものは、特にありません。ただ、従業員や業務の管理を一元的に行うことができ、また、従業員へ指揮命令を行うことができる必要があります。次に挙げる福祉用具専門相談員と兼ねることができます。

福祉用具専門相談員

常勤換算方法で2以上配置しないといけません。また、下記のいずれかの資格が必要となります。

  • 介護福祉士、義肢装具士、保健師、看護師、准看護師、理学療法士、作業療法士、社会福祉士
  • 介護職員基礎研修修了者、介護員養成研修1級・2級課程修了者
  • 福祉用具専門相談員指定講習の修了者
  • 都道府県知事が福祉用具専門相談員指定講習に相当すると認める講習の修了者

要件3 設備に関する要件を満たすこと

専用の区画

事業運営のために必要な広さの専用の区画を設ける必要があります。

相談室

会話の内容が外に漏れないよう、区切られたスペースが必要です。また、職員や設備がきちんと置ける広さが求められます。

設備及び備品

福祉用具の保管のために必要な設備及び機材です。

清潔であること

清潔・・・と言うとざっくりですが、消毒されたものとされてないものが混ざらないよう、きちんと管理しましょう、ということです。例えば、既に消毒や補修された福祉用具と、それ以外の福祉用具の保管室を別にするといったことです。保管または消毒を他の事業者に行わせる場合(委託)は、消毒のための設備・器材を持っていなくても可です。

その他の注意事項

事務所が賃貸の場合、賃貸借契約は法人名義で行いましょう。個人名義だとダメです。社長が契約していても、それは個人契約なので不可です。また、使用目的は必ず事務所である必要があります。もし、事務所ではなく住居等になっている場合は、所有者から承諾書をもらうか、契約書を訂正してもらうことになります。

事業を軌道に乗せるために

福祉用具レンタル業は、介護保険適用事業であり、参入が比較的容易なので、競争が激しくなっています。そんな中で事業をうまく軌道に乗せるためのポイントがあります。それは、ケアマネとの信頼関係をいかに築くか、です。

福祉用具のレンタルは、以下の流れで行われます。

  1. 利用者からケアマネージャー(居宅介護支援事業者)に相談・申込み
  2. ケアマネージャー(居宅介護支援事業者)が利用者の希望・状況を把握
  3. 介護用品を納品 利用者に合わせて調整し、使用方法等を説明
  4. 重要事項説明書による説明と同意により、契約を締結

このように、福祉用具のレンタルにはケアマネが重要な役割を占めています。

選定とフィッティングとモニタリンクをきちんとし、ケアマネから信頼されることで、継続的に仕事が来ることになります。そこがビジネスとして成り立たせるポイントでもありますし、やりがいのあるところでもあります。介護に関わる事業の一つとして知ってもらえたらと思います。

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