検証!世界の「障がい者差別解消法」の違い

2016.9.14 ライフスタイル
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現在、多くの国では、障がい者の日常生活・社会生活を送る上での機会の平等を保障する法律「障がい者差別解消法」を施行する動きが出てきています。それにより、障がいがあっても働ける人が増えてきました。参照:世界一静かなスタバから学ぶ「障がいがあっても働く喜び」

日本では、2012年9月に内閣府の障がい者政策委員会のもとに差別禁止意見がまとまり、それをもとに2013年6月に国会で障がい者差別解消法が成立。そして、2016年4月に施行されました!

日本の障がい者差別解消法

今年施行されたとはいえ、まだまだ日本ではよく知られていないこの法律。この法律をより多くの人に知ってもらうために寝たきり芸人「あそどっく」と人気ダンス芸人の「エグスプロージョン」の異色コラボでビデオが制作されました。


バリバラ「障害者差別解消法」あそどっぐ×エグスプ… 投稿者 utinzico256

同じお客様なのに他のお客様に迷惑がかかるから、レストランの入店拒否。

ペット可のアパートも障がい者だからという理由だけで借りれない。

あそどっく

などという、障がいがあるという理由だけで、差別的取り扱いや権利侵害をしてはいけない。社会的障壁を取り除くための合理的な配慮をすること。国は差別や権利侵害を防止するための啓発や知識を広めるための取り組みを行なわなければならないことを定めた法律です。

この法律では、2種類の差別を禁止しています。

不当な差別的取り扱い

  1. 「見えない」「聞こえない」「歩けない」といった機能障害を理由に区別や排除、制限すること
    • 精神障がいを理由にインターネットカフェの利用を拒否
    • 聴覚障がいを理由に、筆談も手話通訳もせずに受診拒否
  2. 車椅子や補装具、盲導犬や介助者など、障がいに関することを理由にして区別や排除、制限すること
    • 盲導犬を連れている人が、「動物は店に入れることは出来ません」という理由で入店拒否
    • 車椅子は他のお客様の迷惑になるので入店拒否

ただし、上の1、2の行為が誰がみても目的が正当で、かつ、その扱いがやむを得ないときは差別になりません

合理的配慮を行なわないこと

障がいのある人とない人の平等な機会を確保するために障がいの状態や性別、年齢を考慮した変更や調整、サービスを提供することを「合理的配慮」といい、それをしないと差別になるとみなされます。ただし、大金を使って過剰な配慮する必要はありません。では、どのようなことが「合理的配慮」になるのでしょうか?

  • 時間や順番、ルールなどを変えること
    • 精神障がいがある職員の勤務時間を工夫する
    • 知的障がいの人に分かりやすいようにルビのふったり、分かりやすい言葉で書いた資料を提供する
  • 設備や施設などの形を変えること
    • 建物の入口の段差を無くすために、スロープを設置し、車椅子利用者が容易に建物に入れるようにする

 

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参照:障がい者差別解消法ってなに?

障がい差別を禁止する法律をめぐる世界の動き

国連が2006年12月に障がい者権利条約をつくりました。この法律は、障がい者の権利を保つためだけの法律ではなく、障がい者が社会の一員として尊厳をもって社会生活することを目的にしています。

私が滞在していたオーストラリアでは、国連よりも14年も早い1992年に、オーストラリア連邦障害者差別禁止法(The Federal Disability Discrimination Act 1992)が制定されました。

オーストラリア連邦障害者差別禁止法とは?

オーストラリアにいる障害者の人権を守り、障害があっても健常者と共に尊厳をもって社会活動を行うことをサポートする為の法律です。この法律の目的は、障害者も、その周りの人たちも、より快適に生活出来るようにする為です。

何をサポートするの?

この法律によって障害者は、就職、教育、交通等において、障害があっても、不利にならない、差別しないということを定めています。

実際に10年間オーストラリアに住んでいても、街や学校、会社、職場等で、障害があっても、頑張って健常者の人たちと勉強したり、働いている人たちの姿を見ることはよくありました。

アルバイトしていたレストランでは、車椅子の人が来店された際に、スタッフが一丸となって、心地よい食事が出来る様にサポートした経験があります。

オーストラリアの大学では、身体の不自由な人たちの為に、講義の内容をノートにまとめるスタッフを配置し、障がいがあっても、高等教育をきちんと受けられるシステムが整っています。実際に障がいを持ちつつ、オーストラリアの大学を卒業し、活躍されている方の特集記事も後ほど投稿いたしますので、ご期待ください。

「障がい者は感動を与えるためにいるのではない」車椅子のオーストラリア人ジャーナリストが語る真意

「人生に限界なんてない」五体不満足のオージーが語る超ポシティブに生きる秘訣

入社時の新人研修では、研修生の中に聴覚障がい者の方がいましたが、その人の為に2人の手話通訳者を配置するなどの配慮がありました。

駅では、電車の運転手が車椅子の人が、きちんと電車の乗り降り出来ているかを確認したり、助けたりする場面を見ることは、沢山ありました。

さいごに

国際的にまだまだ障がい者への対応が遅れている日本。どんどん国際化社会になってきている世の中において、言葉や障害の壁があっても、それを差別することなく、受け入れる気持ちがなければ、皆が幸せになれる地域社会を作ることは出来ません。

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