前回の記事(ターミナル期患者に対する訪問看護の視点とはー 訪問看護に求められる8つのこと その2 ー)ではターミナル期患者に対する訪問看護に求められている8つのことのうち5〜6をご紹介しました。
- 倫理観
- 終末期ケア
- QOLの向上
- 家族への支援
- 病状・病態の予測と予防
- 状態・状況に合わせた看護
- 地域医療
- 社会問題に対応
今回は7と8を紹介したいと思います。
7. 地域医療
地域医療とは
ターミナル期の患者さんの多くが、在宅で治療を受けています。
それはどうしてでしょうか。
最期を迎える場所として、自宅を選択している方が増えているためです。
また、患者さんが急性期を過ぎて、回復期・慢性期・終末期の患者さんは、病院に長く入院すると
ADL(日常生活動作)の低下であったり、認知機能の低下などのリスクがあると言われています。
患者さんのQOLという観点からは、長期的な入院にはほとんどメリットがないのかもしれません。
「施設から在宅へ」と流れが変わり、住み慣れた地域で療養生活を送りたいという人は増えており
今後も増えると考えられています。
ターミナル期患者に対する訪問看護はそういった社会のニーズに応えていく一面があるのです。
他職種連携
ターミナル期患者への訪問看護では
かかりつけ医と密に連絡を取り、今後の見通しについて話す内容を統一させたり
ケアマネージャーとしっかり情報共有をしたり
ヘルパーに終末期のケアについて指導するなど
他職種と連携して総合的なアセスメントとケアを行います。
8. 社会問題に対応
2025 年に備える
2025年問題を耳にされた方も多いと思います。2025年には団塊の世代が後期高齢者となり、高齢者人口は約3,500万人(人口比約30%)に達すると推計されています。
それにともなって、介護・医療費等社会保障費の急増が懸念されているのです。
政府は病院の病床数を機能別に削減させる方向です。
政府は15日、2025年時点の病院ベッド(病床)数を115万~119万床と、現在よりも16万~20万床減らす目標を示した。手厚い医療を必要としていない30万~34万人を自宅や介護施設での治療に切り替える。高齢化で増え続ける医療費を抑える狙いだ。
出典:日本経済新聞(2015/6/15付)
全国の病床数は現在135万床で、緩やかに減りつつある。ただ現状のままでは高齢者の増加に応じ、25年には必要な病床数が152万床に増える。そこで軽度の患者には自宅などで療養してもらう仕組みに変える。
病床の機能別では、長い治療が必要な慢性期の病床を24万~29万床と2割ほど減らす。症状が軽く集中的な治療が必要ない患者は自宅や介護施設に移ってもらう。重症患者を集中治療する高度急性期の病床も13万床、通常の救急医療を担う急性期の病床も40万床と、それぞれ3割ほど減らす。現在は軽症の患者が急性期のベッドを使っている場合があり、役割分担をはっきりさせる。
一方、リハビリを施す回復期の病床は38万床と3倍に増やす。入院している患者がなるべく早期に自宅に戻れるように力を入れる。
出典:日本経済新聞(2015/6/15付)
病床数の削減にともなって、一部の患者は自宅で療養してもらう仕組みに変わりつつあります。
在宅医療や訪問看護に注目が集まっていると言えるでしょう。
ターミナル期患者への訪問看護もその例外ではないのです。
まさしく、ターミナル期患者への訪問看護は患者様「個」に対して価値をもたらすことはもちろん、今後の日本社会にとっても重要だということは明らかです。
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いかがでしたか?
ターミナル期患者に対する在宅医療や訪問看護は
個々の患者さんの要望にこたえつつ
時代の変化や社会問題に対応している側面があることはご理解頂けたでしょうか。
今後ますます訪問看護のニーズが高まるでしょう!
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