お家で最期のときを迎える患者さんが増えています。
患者さんのQOLの観点から、良いことだと感じます。
もし、治療を続けても、回復の見込みがないといわれたとき。
患者さんの脳裏に、病院で亡くなる自分の姿がよぎるんだと思います。
病院内で、家族につきっきりでお世話してもらうにも限界があります。
そんなとき、きっと患者さんは、お家に帰ることを選択肢として考えるのではないでしょうか。
今回は、そんな患者さんをお家でお世話するご家族の方々の話です。
自宅で患者さん看取るご家族としては、悲しみと不安と緊張の日々だと思います。
患者さん、そしてご家族にとって一番納得のいくお別れをしたいと願っているはずです。
悲しくて、つらくて、でもとっても大切なかけがえのない日々。
終末期の患者さんのご家族には多様なニーズがあるといわれます。
今回はそのニーズの中で多く聞かれる9つをご紹介します。
目次
看取る側の家族のニーズ9個
1. 患者の状態を深く知りたい
医療の知識のないご家族は、お家で患者さんをお世話するのに不安を抱えています。
訪問看護の医療職が、患者さんの状態をきちんと把握する必要があります。
訪問看護の医療職も24時間つきっきりという訳にはいきません。
適切に患者さんの状態を把握し、先を予測した支援をするために
家族にしっかりと状況報告しておく必要があります。
2. 患者の側にいたい
ちょっと患者さんの側から離れるのも心配。そんなご家族もきっとおいでます。しかし、ご家族にも学校があったり仕事があったり。心身疲れ果てたご家族を気遣ってあげることも、訪問看護の医療職の仕事かもしれません。
3. 患者(本人)の役に立ちたい
患者さん(本人)の力になりたいと思っているご家族の方も多いでしょう。どうしたら医療職が不在の間、お家で、また家族だけでお世話をしてあげれるかを積極的に提案してあげたらいいかもしれません。患者さんの力になることで、ご家族の気持ちも安らぐでしょう。
4. 感情を表出したい
ご家族は、不安だったり、悲しみだったり、疲労だったり、いろんな気持ちが入り混じっていると思います。よその人には見せないようにしているだけで、実は支援を必要としているのかもしれません。
そういったことを家族から聞きだせるコミュニケーション力が必要です。
5. 医療者から受容と指示と慰めを得たい
そそくさと医療サービスだけして帰る医療職が多いのか少ないのかはわかりませんが、
ご家族は医療職とコミュニケーションを取りたいと思っているのかもしれません。
医療のことがよくわからない家族に対して、医療職は患者さんの容態を理解・把握している専門職として、とても頼りにされています。
6. 患者の安楽を保証して欲しい
100%患者さんの安楽を保証できる医療職はいるのでしょうか。
患者さんがどこで死を迎えるにしても、ご家族としては、患者さんの安楽を願わずにはいられません。
7. 家族メンバーより慰めと指示を得たい
実の親であったり、そうではなかったり、ご家族といえども、患者さんとの距離が違うのかもしれません。だからでしょうか。
8. 患者―家族間で対話の時間を持ちたい
患者さんとの対話の時間も限られています。それまで患者ー家族間で会話がなかったお家も、お別れを目前にして、話したいことがわきあがってくるものかもしれません。患者さんの負担のないように、しかし、悔いの残らない会話がしたいー医療職がそんな悩みのことで相談にのってあげれたらいいかもしれませんね。
9. 自分自身を保ちたい
本当はご家族の方も日常に戻りたい、戻らなくては、と願っているはずです。
例えば、学生の方であれば、日々の学校がありますし、社会人の方だと日々のお仕事があります。ですが大好きな家族とのお別れのために、貴重な時間を過ごしてます。
心身が不安定になって、「いつもの自分」とは別人になってしまう方もおいでると思います。
お化粧が日課だった方がそうではなくなったり、明るい性格で周囲を楽しませていた方が涙もろくなったり。
学校や職場では、患者さんやご家族の事情におかまいなしに時間が流れていきます。
自分自身を保ちたいと思われる方もおいでるはずです。
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いかがでしたでしょうか。
訪問看護の医療職に求められていることはたくさんあるのだと改めて感じます。
しかし、患者さんのご家族の方からしたら、
家族とのお別れの時間を大切にしたいと思うのが当たり前。
医療職の負担もありますが、患者さん・そのご家族の支援をたくさんして頂きたいと願わずにいられません。
参考文献:
「よくわかる在宅看護」 編集・角田直枝 学研
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