在宅医療

在宅医療-介護の現場に「マニュアル」は必要か?

2017.2.24 在宅医療
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たくちゃん。

たくちゃん。

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今回は医療や介護現場においてマニュアルは必要なのか?

ということについてお伝えできたらと思います。

 

医療介護従事者の皆さんは「マニュアル」と聞くとどのような印象を受けますでしょうか?

 

「医療-介護業界に、それいる?」

「いらないのでは?」

「マニュアル通りにしか動けなくなる人が増える?」

「顧客満足度がむしろ下がる?」

「マニュアルってなんか硬い・・・」

 

そう思っている方も少なからずいらっしゃると思います。

かく言う私も、今までそのように思っていた1人です。

 

特に医療-介護の世界では個人(スタッフ)の個性や専門性が最大限尊重されるべきであり、それを均すべきではないのでは?と思っていました。

 

ただし、組織づくりのための様々な勉強をしている中で、このマニュアルを作り、運用していく。ということの重要性を大変感じております。

 

以下、マニュアルを作ることの目的やメリットについてお伝えします。

「マニュアル」を作ることによるメリット3つ

五輪

良い意味で業務が標準化される

日々仕事をしていて何が正しくて、何が悪いのか?

何が評価されて何が評価されないのか?

これが明瞭になることによって、大多数の人は業務がしやすくなります。

その標準化された業務ルールが厳しく一律にあることによって初めて「強み」や「個性」が生かされます。

例えば、どのようなスポーツでも必ず厳格な評価される基準やルールがありますよね。

当然のことなのですが

これがあって初めてスポーツという競技が成り立ち、どうしたら得点(評点)を上げれるのか?どうしたらルール違反なのか?を明瞭に知り得ることができ、最終的に「勝つ」ということを目指していけるのです。

ちなみに私が考える「業務の標準化」に関してですが
医療介護業界では1~10までを完璧にマニュアルにすることが必要だ。とは考えていません。

何故なら、前述したように私たちが提供しているサービスは医療-介護-福祉という人とヒトとが関わるサービスであり、個性やその人らしさ、そして専門性はやはり大きく尊重されるものである必要があると考えるからです。

 

その為、例えば訪問看護-リハ業務工程であれば

①訪問前の準備

②ご利用者様の家に行く-入る

③ご自宅に入る

④バイタルを測る

⑤看護治療を行う

⑥物品等の整理

⑦家を出る-帰社 という工程があった場合、この⑤に関しては医療職としてコア業務であり、この業務だけはあえて標準化はしなくても良いと考えています。

 

教育の仕組みができる

マニュアルを作成することにより、何を基準として教えるのか?どう育てるのか?という教育の軸が生まれます。

なので、基本的には誰が教えても、標準の教育水準の指導はできる。ということになりますので、新人スタッフの育成や人事異動したスタッフの業務指導などにおいて、は大変役立つものになります。

そして、指導側も、新人側の安心-安定にも繋がることでしょう。

 

「利用者不満足」が解消される

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例えば皆さん、突然ですが美容室をイメージしてみてください。

ある日、初めてその美容室に行ったら①カット前後のシャンプー②シャンプー後のマッサージ③全てが終わった後の1ドリンク のサービスがありました。全体を通してとても満足の行くサービスだったとして、「満足した!また来よう!」とあなたは思ったとします。2回目に行ったときには、どうしても前回の担当者の予約がとれず、別担当者になりました。①と③のサービスはありましたが、何故か②のマッサージはしてくれず、あなたは少しだけ「ん?」となり「不満」になりました。3回目に行ったときは初回の担当者がついてくれました。しかし、忙しそうで①と②のサービスはありましたが③のドリンクが出てきませんでした。あなたは2回目よりさらに「んん?」となり、「もうこの美容室は止めておこう」となりました。

さて、これは美容室の例ですが、私たちと同じ人を介して提供する、「サービス業」の1つです。

この美容室はもちろん個々のスタッフが顧客を満足させたい!とは思っています。しかし、人や状況によってサービスの内容が異ることによって「顧客不満足」を生じさせてしまっているのです。

顧客が不満足に感じているのはそれぞれのサービスの「質」というより、「内容がバラバラ」ということでしょう(もちろん質も大事ですが)。

マクドナルドでビッグマックを頼んだときに、「レタスの入れ方が稀に雑」ということより「レタスが入っていない時がある」ということの方がクレームが生じる可能性が高いのではないでしょうか。

 

デイサービスの現場でもよくある話なのですが
例えばあるスタッフは利用者様の自立支援を担いたいため

 

「靴は自分で履けるよう見守る」

 

という対応をしたとします。

しかしあるスタッフは靴を履くのは時間もかかるし、大変だから

 

「靴は履けるよう介助する」

 

という対応だったとします。

この利用者様が事業所に感じるのは、満足感でしょうか?それとも不満足感でしょうか?ここで言いたいのはどちらのアプローチが◯か✕かではなく、統一されていないことによる不満足感を生じさせる可能性がある、ということです。

 

あくまでも例ですが事前に

 

・介護度◯以上or下肢MMT◯以下のご利用者様は靴を履く介助をする。

・事前にPTやOTから各利用者の自立支援を担える介助方法を周知してもらい、皆で徹底する。

 

などの標準化されたルールや基準があればこのような不満足を解消できるのかもしれません。ご利用者様の満足度というのはまず、「ご利用者不満足を生じさせない仕組み」をつくることから始めることが前提であり、質の追求より先に大切なことだとも言えるでしょう。

ちなみにですが、マニュアルがとってもしっかりしていて、教育の仕組みが素晴らしい企業にはスターバックスやディズニーランドがあります。

多くの感動がある企業ですよね。

ご利用者様の幸せの追求や感動にはまず、「標準化されたモデル」と「それを浸透(教育)させる仕組み」が大変重要でしょう。

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