医療や介護を地域で実施していく上でまず必要なことは、対象者(患者)の評価・情報収集です。
それを踏まえアセスメントし、治療方針や支援策を立案、実行していきます。
これ、地域診断においても同様です。
まず地域の情報収集し、整理することから始めなければなりません。
ではどのような情報を収集していけば良いのでしょうか?
地域診断の手法
地域診断には様々な手法があります。
ここでは「コミュニティ・アズ・パートナーモデル」の考えに基づいた情報収集例を紹介します。
コミュニティ・アズ・パートナーモデルとは地域全体を包括的な視点で捉え、分析から介入、評価までを実践的な過程で示すモデルのことを言います。
コアという地域を構成する人々とサブシステムという8つの要素からアセスメントを行います。
コミュニティ・アズ・パートナーモデル
<コアシステム>
人口動態、歴史、文化、就労状況、世帯構成など<サブシステム>
① 物理的環境(地理的条件や住環境など)
② 経済(基幹産業、地場産業、流通システムなど)
③ 政治と行政(行政組織、政策、財政力、住民参加など)
④ 教育(学校教育機関、社会教育機関など)
⑤ 交通と安全(治安、災害時の安全、ライフライン、交通など)
⑥ コミュニケーション・情報(地区組織、通信手段、近隣関係など)
⑦ レクリエーション(レクリエーション施設と利用状況など)
⑧ 保健医療と社会福祉(医療システム、保健システム、福祉システムなど)
なぜ包括的な視点が必要なのか?
なぜ、包括的な視点が必要なのか、例を挙げます。
例えば、同じような豪雪地帯でも要介護認定率が異なることがあります。
一般的には豪雪地帯では閉じこもりなどによる生活不活発病の可能性が高くなることが推察できます。
そうした推察だけで分析するのではなく、包括的にみると、様々な特色が見えてきます。
コアシステムの観点でみると、世帯構成が異なり、日常生活上での活動量が異なるかもしれません。
サブシステムの観点でみると、交流広場や高齢者サロンなどの活動が盛んで、さらには送迎付きのレクレーションがあり、外出機会が冬場でも維持されているかもしれません。
こうした違いが、要介護認定率に大きく影響することが考えられます。
量的・質的データを組み合わせる
より総合的・多角的な視点から情報をアセスメントするには人口動態統計や各種保健統計などの統計データ、アンケート調査結果など、数値化されたデータである「量的データ」と、
インタビューや地域視診など住民の生の声などの「質的データ」を組み合わせる必要があります。
そうすることによって、数値からだけでは見えてこないリアルな意見も取り入れた、より良い分析を行うことができます。
特に住民や地域に根ざした関係機関の生の声を聞くことが、情報収集・アセスメント後に地域課題の特定と整理をする上で重要となってきます。
まずは、地域を知るために、足を運ぶことから始めてみてはいかがでしょうか?
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