今さら聞けない「地域包括ケアシステム」における総合事業

2017.3.21 在宅医療, 在宅介護
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地域包括ケアシステムの構築に向けて、各自治体では、平成 27 年度から要支援者を対象とした生活支援や介護予防に大きく関係する「介護予防・日常生活支援総合事業(以下、総合事業)」が展開されています。

さて、みなさんはこの「総合事業」について説明できますか?

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 生活支援の問題

2025年を迎えるにあたり、少子高齢化社会が進む中で、高齢者人口が増加するだけではなく、高齢者単身および夫婦世帯が増えていきます。

このため、在宅生活を支えるための生活支援のニーズも急速に高まることが予想されますが、生産年齢人口低下に伴い、それを支える専門職数の増加は期待できません。

ここで、現在の訪問介護サービスをみると、掃除や買い物といったほとんどが専門職ではなくても提供可能な内容となっています。

 介護予防の問題

平成18年から介護予防事業が導入されましたが、二次予防事業の参加率は高齢者人口の0.7%程度と低調が続き、介護予防費用の中では二次予防対象者把握事業が全体の30%を占め、費用対効果が低い事業と評価されました。

今までの介護予防の問題点として、心身機能向上を目的とした機能回復訓練への偏り、通いの場の創出の不足、利用者・提供者共に活動参加への意識不足、等が考えられています。

総合事業の考え方

介護予防、生活支援、社会参加は、本来同じ方向性をもつ取り組みです。

たとえば、一人暮らし高齢者宅のごみ出しを、近所の高齢者が手伝う(生活支援)ことによって、手伝っている高齢者は地域社会への参加(社会参加)を通じて、他者に貢献し、そのことが本人の生活意欲を高め、結果的に本人の「介護予防」に繋がります。

このように、「支える側・支えられる側」という垣根を可能な限り取り払い、「担い手となること=結果的に予防になる」という考え方に基づき、介護予防・生活支援・社会参加を一体的に融合させることが、地域包括ケアシステム構築に向けた地域づくりにおいて中核となり、総合事業を考える上で必要な視点となります。

また、総合事業は、要支援者等の軽度者を対象とした事業ですが、一方で、今後は中重度の在宅要介護者の増加に応じて、在宅介護サービスにおける身体介護への重点化が求められます。

総合事業を通じて、生活支援を専門職以外の新たな人材が担うことにより、既存の専門職は、中重度者を中心とした身体介護に重心を移すことが可能になるため、中重度者の在宅生活の継続の可能性を高める上で重要な役割を担うという意味も持ちます。

これからは、総合事業を念頭に置いて、地域づくりを考えていく必要があるのではないでしょうか?

<三菱UFJリサーチ&コンサルティング>

H26年度 介護予防・日常生活支援総合事業への移行のためのポイント解説

<厚生労働省>

これからの介護予防 を参考に記載

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