認知症 「新オレンジプランの七つの柱」 その1

2017.3.25 在宅医療, 在宅介護
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前回の記事では、

認知症の人の意思が尊重され、できる限り住み慣れた地域の良い環境で自分らしく暮らし続けることができる社会の実現を目指す』ことを基本的な考え方とした『新オレンジプラン

の話しをしました。

今回は『七つの柱』の一つである【① 認知症への理解を深めるための普及・啓発の推進】の方法について先行事例を交えて説明していきます。

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国際大学の取り組み:「認知症の人にやさしいまちづくりガイド」の作成

本ガイドは、「認知症の人にやさしいまちづくり」を、これまでの主な担い手であった医療・福祉分野の方々に限らず、

セクターや世代を超えた取り組みとして広げていく際に役立てていただくことを目的として作成しています。

作成にあたっては、国内初の試みとなる、認知症の人自身にたずねた全国規模のアンケート調査を行いました。

調査結果からは、認知症の人の多くが、認知症となってから外出や交流の機会を減らしていること、

その背景には公共交通機関を利用することが困難になっていることなどの複数の理由が存在していることが明らかになりました。


参考:認知症の人にやさしいまちづくりガイド」

一方、「認知症の人にやさしいまち」は、イメージとしては大事だと思う人が多いものの、何をもって認知症の人にやさしいとするのか、あるいは、何をすればいいのかとなるとあいまいになってしまう方も多いのではないでしょうか。

さらに、全国の自治体では、認知症サポーターの養成講座などが開かれていますが、「講座を受講したが、具体的に活動している訳ではない」といった声も 聞かれます。

ちづくりのゴールとは何なのか、どうすれば取り組みが発展していくのか。

このガイドでは「認知症の人にやさしいまちづくり 」を行うための6つの課題とヒントが示されています。

認知症の人にやさしいまちづくり:6つの課題とヒント

このガイドでは「認知症の人にやさしいまちづくり 」を行うための6つの課題とヒントが示されています。

1. 知識から体験へ
・座学による知識伝達(「正しい病気の理解」といった医学情報)に偏った現状
・認知症の人と出会う場づくり、イベントや訓練などの行動を伴う活動、認知症の人と一緒に何かをする体験など、気づきから行動変容につながる設計を重視

⇨大牟田模擬訓練、鎌倉清掃活動、富士宮ソフトボール大会

2. 民間のプラットフォーム
・生活圏域の課題取り組む人と、全域課題で取り組む人が、課題意識を共有し、出来る領域からスタートするプラットフォームが必要
・公平性・代表性の制約を受ける自治体はこの役割を担うのが難しい

⇨富士宮イベント実行委員会、町田ワークショップ、英国DAAなど

3. ビジネスセクターのイニシアチブ 職域全体への取り組み
・個人商店などを除くと、企業のトップダウンのイニシアチブが必要 ・マニュアルや職場研修を通じた行動変容を促すプログラ

⇨イオンの全社的方針、英国の認知症フレンドリー金融憲章

4. 手挙げ方式で始める
・形式的な連携やプラットフォームは、職種や部署の利害対立から形骸化の傾向
・できる人・グループ・部署から、できることからスタートする ・立ち返る原点として(利害対立を克服する手段として)の認知症の人の声

⇨ 富士宮のイベント実行委員会、京都式アイメッセージ、大牟田商店街

5. 多様な参加方法
・当事者視点が大事なのは理解できるが、誰に聞いて、どのように反映させればよいか各地で手探り状況。聞き取り調査・アンケートだけでなく、施策や企業の取り組みの企画の場に認知症の人自身が参加する、認知症カフェやイベントなどを通じてなど認知症の人との接点を増やすなど方法は多様。

6. アウトカム指標を設定してみる
・認知症サポーターの人数のようなアウトプット指標ではなく、認知症の人の暮らしやすさが変化したかどうか等、まずは何かアウトカム指標の設定してみる
・手法の標準化にはまだできてないが、まず何か設定することでマインドセットの変化が期待される。

⇨京都の検証プロセス

 おわりに

行政、企業、福祉関係者、本人、家族、それぞれ立場が違えば、感じることも、実現していきたいことも異なるはずです。

しかし、 はじめの一歩は、誰かに出会うこと、その人に想いをぶつけてみることから始まるのではないでしょうか。

みなさんは、まちを変えるはじめの一歩をどう踏み出しますか?

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