「デイケアとは何?初めての方でもわかりやすく解説します」
デイケアとは、介護保険で受けられる「居宅サービス」の1つです。
また、デイケアの正式名称は、「通所リハビリテーション」です。
実は、デイケアというのは略称なんですね。
これからデイケアの利用を考えている人や、その利用者のご家族様は、「デイケアって一体なに?」「デイケアとデイサービスの違いって何?」「どれくらいお金ってかかるの?」と、お考えかもしれません。
そこで今回は、デイケアの基本的なことから、デイサービスとの違い、そして失敗しないデイケアの選び方まで、わかりやすく説明していきます。
目次
デイケアとは?
冒頭でもお伝えしたように、デイケアの正式名称は「通所リハビリテーション」と言い、介護保険上は居宅サービスの1つに分類されます。
「通所」とは、通うという意味です。デイケアでは日帰りでリハビリテーションや入浴、食事、レクリエーションなどのサービスを受けることができます。
ちなみに、居宅サービスとは、自宅で暮らしながら利用できるサービスのことです。デイケアの他には、訪問介護や訪問入浴、デイサービスなども、居宅サービスの中に含まれています。
また、デイケアについては、介護保険法8条8より、以下のように定められています。
心身の機能の維持回復を図り、日常生活の自立を助けるために行われる理学療法、作業療法その他必要なリハビリテーションをいいます
(介護保険法第8条8より一部抜粋)
このように、デイケアでは、通所リハビリテーションという名前の通り「リハビリテーション」がメインになってきます。
もう少し具体的にいうと、なんらかの障害で日常生活に支障をきたしている方に対して、医師の指示のもと、理学療法士や作業療法士などのリハビリ専門職が、運動療法(筋力トレーニングや関節可動域訓練など)や生活動作のアドバイスなどを行っていきます。
上記のようなリハビリを受けることで、以前よりも暮らしやすい状態を目指していきます。
最終的には、日常生活が自立でき、その人らしい生活が送れるようになることが、最大の目的(ゴール)といえるでしょう。
デイケアのサービスって一体なに?
デイケアの対象者
「要介護」の方が、サービスを受けることができます。
また、「要支援」の方は、「介護予防通所リハビリテーション」というサービス名で利用することができます。
名前こそ違いますが、「要介護」「要支援」両方とも、同様のサービスを受けることができます。
在籍している専門職
・医師(常駐)
・理学療法士、作業療法士、言語聴覚士など
・看護師
・介護職員
・管理者
などが在籍しています。
※法律によって必要な人員は決まっていますが、事業所によって、専門職のばらつきは多少あります。
サービスを受けれる時間
・1時間以上2時間未満
・2時間以上3時間未満
・3時間以上4時間未満
・4時間以上6時間未満
・6時間以上8時間未満
とあります。事業所によって違うため、確認が必要です。
具体的に何をするの?(例:1日の流れ)
8時30分 自宅まで車でお迎え
8時45分 到着→バイタル測定
9時00分 ・準備体操
〜 ・器具での筋力トレーニング
・集団体操(レッドコードなど)
・理学療法士などによる個別リハビリ
・レクリエーション
・席での歓談 など
11時50分 送迎開始
12時00分 ご帰宅
利用料金はいくら?
利用料金の算出方法は少し複雑なため、詳しくは担当のケアマネージャーや事業所などに聞くのが1番です。
しかし、実際にどういった構造かを知りたいという方に対して、今からご説明していきます。
「利用料金の目安=基本部分+加算+自費−減算」と考えよう
利用料金の算出方法は複雑ですが、
「利用料金の目安=基本部分+加算+自費−減算」と考えるとわかりやすいです。
まず、「基本部分」に関して。
基本部分は、 ①施設規模 ②利用時間 ③介護度 で考えていきます。
施設の規模の大きさやデイケアの利用時間、介護度で利用料は変わってきます。
以下に、上記3点をまとめた表を貼っておきます。
施設規模:通常規模の場合(月平均750人以下)
※厚生労働省HP「介護報酬の算定構造」より引用
施設規模:大規模型(Ⅰ)の場合(月平均750人超〜900人超)
※厚生労働省HP「介護報酬の算定構造」より引用
施設規模:大規模型(Ⅱ)の場合(月平均900人超)
※厚生労働省HP「介護報酬の算定構造」より引用
要支援の場合
※平成27年度以降の介護報酬です
※介護保険では、「円」ではなく、「単位」と表示されます
以上が、基本部分になります。
この基本部分に加えて、「加算」が上乗せされます。
例えば、
・入浴介助を行った場合(50単位/日)
・短期集中個別リハビリテーション加算(110単位/日)
・リハビリテーションマネジメント加算(Ⅰの場合230単位/月)
・口腔機能向上加算(150単位/回)
などです。
さらに、「自費」でかかってくるものもあります。
例えば、
・食費
・娯楽費
・オムツ代
などです。これは、事業所によってさまざまなため、確認をとった方がよいでしょう。
以上の、「基本部分」「加算」「自費」をすべて足したものに対し、最後に減算をします。
減算とは、例えば
・事業者が送迎を行わない場合(片道につき−47単位)
などがあります。
よって、「基本部分+加算+自費−減算」の合計が、利用料金の目安になります。
料金の例
例えば、
・基本部分→通常規模。要介護2。利用時間は、3時間以上4時間未満。
・加算→入浴介助と口腔体操を実施。
・自費→娯楽費は100円がかかる。
・減算→送迎はなし。
このような場合は、
520単位(基本部分)+200単位(加算)+100単位(自費)−47単位(減算)=683単位/日
となります。
1単位=10円※1、かつ1割負担※2として、
683単位×10円×0.1=683円/日かかってくることになります。
※1所在地域などによって変わってきます。
※2所得によって変わってきます。
さらに、処遇改善加算というものがかかってきますが、ややこしくなるため、今回は割愛します。
なので、詳しい料金については、ケアマネージャーや、事業所などに直接お聞きするのが良いです。
上記は、あくまで目安としてお考えください。
デイケアとデイサービスの違い
「デイケアとデイサービスって名前は似てるけど、一体何が違うの?」 と疑問に思うかもしれません。
そこで、今からデイケアとデイサービスの違いについてご説明していきます。
そもそもデイサービスとは?
デイサービスについて知らないと、デイケアと比較できないため、まずはデイサービスの基本的なことについてお伝えしていきます。
デイサービスの正式名称は、「通所介護」です。
デイケアと同じように、デイサービスというのも略称なんですね。
デイサービスについては、介護保険法8条7より、
入浴、排せつ、食事等の介護その他の日常生活の世話であって、厚生労働省令で定めるもの及び、機能訓練を行うことをいいます。
(介護保険法8条7より一部抜粋)
と定められています。
デイサービスでは、デイケアと同様に機能訓練も行いますが、食事介助や入浴介助を行ったりなど、家族の介護負担軽減という側面も強いです。
デイサービスの対象者
「要介護」の方が、サービスを受けることができます。
また、「要支援」の方は、「介護予防通所介護」というサービス名で利用することができます。
名前こそ違いますが、「要介護」「要支援」両方とも、同様のサービスを受けることができます。
在籍している専門職
・生活相談員
・看護職員
・介護職員
・機能訓練指導員
・常勤管理者
などが在籍しています。
サービス時間
・3時間以上5時間未満
・5時間以上7時間未満
・7時間以上9時間未満
※上限の利用時間は、14時間です。
※事業所によって違います。
デイサービスの料金はいくらなのか?
基本的に、デイケアの料金算定方法と考え方は同じです。
利用料金=基本部分+加算+自費−減算
で考えていきます。
通常規模型通所介護の場合(月に平均300人超750人以下)
※厚生労働省HP「介護報酬の算定構造」より引用
大規模型通所介護(Ⅰ)の場合(月に平均750人超900人以下)
※厚生労働省HP「介護報酬の算定構造」より引用
大規模型通所介護(Ⅱ)の場合(月に平均900人超)
※厚生労働省HP「介護報酬の算定構造」より引用
要支援の場合
※平成27年度以降の介護報酬です
※介護保険では、「円」ではなく、「単位」と表示されます
さらに、加算として以下などが上乗せされます。
・入浴介助を行った場合(50単位/日)
・個別機能訓練加算(Ⅰ→46単位 Ⅱ→56単位)
・認知症加算(60単位/日)
・栄養改善加算(150単位/回)
・口腔機能向上加算(150単位/回)
など。
そして、デイケアと同様に、自費でかかってくるものとして
・食費
・娯楽費
・オムツ代
などがあります。
さらに、減算をします。
例えば
・事業者が送迎を行わない場合(片道につき−47単位)
などです。
比較でわかるデイケアの特徴
さて、ここまで読んで、本題であるデイケアとデイサービスの違いはイメージできましたでしょうか?
簡単にまとめると、
・デイケアはDrが常駐している
・デイケアはリハビリ専門職が必ずいる
・デイケアの単価は、デイサービスより若干高い
となります。
デイケアのメリット・デメリットまとめ
メリット
・Drが常駐しているため、医学的な管理が必要な利用者に適している。
・リハビリ専門職が必ずいるため、専門的なアドバイスが貰える。
デメリット
・デイケアの単価は、デイサービスより高い。
最近は、リハビリ特化型デイサービスなどが増えており、デイサービスにも理学療法士などのリハビリ専門職がいることが多いです。
そのため、「リハビリテーションを受けたいからデイケアへ行く」というのは、少し待ったほうがいいかもしれません。
失敗しないデイケアの選び方
まずは、目的を考えてみましょう。
手当たり次第デイケアを探しても、自分に合った場所を見つけることは大変です。
そのため、まずは「なぜ、デイケアに通いたいのか?(通わせたいのか? )」という質問を自分に投げかけてみてください。
そこで、「リハビリテーションを行うことで、日常生活での不便さを解消したい」「リハビリ専門職の指導を受けて、もっと自分で動けるようになりたい」などの要望が出てきたら、ぜひデイケアの利用を考えてみましょう。
しかし、「介護が大変だから、預けることで少しでも自分の時間がほしい」「ほかの利用者さんとの交流をしてほしい」などの理由でしたら、デイケアではなくても、他にいろいろな介護サービスがありますので、そちらを検討しても良いと思います。
担当のケアマネージャーや役所などに相談しましょう
目的が決まったら、担当のケアマネージャーに、要望や悩みなどを伝えて、デイケアの紹介をしてもらいましょう。
もし、担当のケアマネージャーがいないようでしたら、お近くの役所や地域包括支援センターなどに相談するのもありです。
見学に行ってみましょう
ケアマネージャーなどに紹介されたデイケアは、必ず見学に行きましょう。
見学でのポイントとしては、
・曜日で利用者が違うため、その日によって雰囲気が違います。なので、なるべく希望の曜日に見学へ行けるように調整してもらいましょう。
・スタッフの利用者さんに対する態度に注目しましょう。利用者さんに対しての接遇がしっかりできているか確認しましょう。
・理学療法士、作業療法士、言語聴覚士に悩んでいることを話してみましょう。日常生活での悩みなどを伝えて、どのように対応してくれるかを確認しましょう。
・利用料に関して、しっかりと聞いておきましょう。実際にどれくらい金額がかかるか、聞いておいた方がいいと思います。人それぞれ違うため、あとで「こんなにもお金がかかるなんて・・・」ということがないように、あらかじめおおよその料金を聞いておきましょう。
おわりに
いかがでしたでしょうか? 少しは、デイケアについてご理解することはできましたでしょうか。
デイケアで行われるサービスを理解し、自分に適したサービスを選ぶことができることを祈っております。
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