医療・介護職が知っておきたい「健康の社会的決定要因」

2017.7.25 在宅医療, 在宅介護
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近年、諸外国同様、わが国においても、社会的な健康決定要因の関与が重要な関心事となっています。

 

また、疫学分野の一つとして社会疫学も発展しています。

 

例えば、低所得者は高所得者に比べて寿命が短く、疾病頻度は高い事が分かっています。

 

このような健康格差は重大な社会的不平等であるだけでなく、科学的見地から現代社会における健康水準に最も強く影響を与えるいくつかの要因に注目を集めるきっかけとなっています。

 

そこで、医療・介護職と関係が深い「社会的な健康決定要因」について示していきます。

(photo by Fotolia)

主たる健康の「社会的決定要因」とは?

ストレス

長く続く心配、不安定、自信喪失、社会からの孤立、仕事や家庭生活でのコントロールの欠如などは、健康に強く影響を及ぼします。

 

このような心理社会的要素によるリスクは次第に蓄積されていき、精神の健全性を欠如させ、死を早める危険を増大させています。

 

医学上、ストレスによる体調の変化は、薬でコントロールすることはできます。

 

しかし、それ以前に、慢性的なストレスの根本要因を減らすことに着目すべきです。

 

(Photo by Fotolia)

社会的支援

「社会的なつながり」は人間の社会的関係の質と、コミュニティもしくはより広範囲の社会において信頼関係があること、お互いに義務を負うこと、お互いを尊重することと定義されます。

 

このつながりがあることで、人々は守られ同時に健康も保持できます。

 

ある調査によると、地域社会において社会的なつながりが密接な時には心臓の冠状動脈疾患が少なかったが、つながりが希薄になると心臓疾患の疾病率が上昇したという報告があります。

 

社会的・経済的な格差を縮小し、社会的排除を減らすことで、社会的なきずなを深め、健康の水準を高める必要があります。

(photo by Fotolia)

交通

健康を重視した交通システムとは、公共輸送機関の整備により自動車の利用を減らし、徒歩や 自転車の利用を奨励することを指しています。

 

自動車の利用は人々を分断してしまうのに対し、自転車や徒歩、公共の交通機関の利用は、道に社会的な交わりをもたらします。

 

機械化が進み、仕事や家事で体を動かす機会が減り、肥満が増加傾向にあるため、人々は生活の中で身体を動かす新たな方法を見つける必要性があります。

 

体を動かすことが少なくなってきている生活様式への対策として、車に頼らず、徒歩や自転車の利用を増やし、公共の交通機関を拡張することで、交通整備政策は重要な役割を果たすことが可能です。

 

常日頃から体を動かすことは心臓疾患を予防し、肥満を解消することで糖尿病の減少につながります。

 

また、充足感を高め、精神の安定を促し、高齢者の鬱病予防にもなります。

(photo by Fotolia)

まとめ

このように、医療・介護専門職としては、生物・医学的なミクロ要因だけでなく、個人の社会経済的要因・環境としての社会のようなマクロ要因からも、アプローチする必要があると考えられます。視点を広げること、多面的に物事を考えることはどの分野、どの領域においても意識したいものです。

参考資料

健康の社会的決定要因 確かな事実の探求 第二版

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