先日より、パラレルキャリアの記事を書いております理学療法士の野田です。
さて、病院や施設勤務をしながら活動するのがパラレルキャリアなのですが、活動する人の中で以下のような場面がよくあります。
「こういうことを地域でやりたいけど行政に相手にされない!」
「アポを取っているけどスルーされる!」
地域への参加や企業との連携を模索している方々から悲鳴のようによく聞く言葉です。
パラレルキャリアを模索すると対外交渉が多くなりますが、こういった失敗は個人力の認識不足から生まれているものだと考えています。
パラレルキャリアで求められるのは間違いなく「個人力」
ただ、この理解がなかなか浸透していないようですので、今回、事例をもとに少しご案内したいと思います。
(photo by Fotolia)
よくある発言と勘違い
予防医療や健康寿命への重要性が高まる中、理学療法士や作業療法士と予防分野の話や地域への介入の話をしていると、往々にしてよく発している発言があります。
- 理学療法士は動作や運動のスペシャリストだから○○ができます!
- 病院で地域の健康教室をしたから○○に貢献できます!
- 毎日たくさんの患者さんをみてきた実績があるから○○なんですよ!
こういった発言です。
今までされてきたことに誇りと自信がおありだと思いますし、間違いなくやってきた実績だとは思います。
ただ、これは病院や資格の実績であり、個人の実績として認められにくいのです。
この点を理解していない方々が自己の力を過信し、失敗をされるケースが最近多いように感じます。
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病院や施設の看板を外した時
パラレルキャリアに所属の看板は役に立ちません。あくまで個人成果として認められる活動と実績が大きな対外的評価となります。
病院や施設に所属し行っている多くの業務内容は、病院や施設、資格自体の社会的価値に対して求められていることであり、その実績や評価は個人ではなく、病院や施設、資格の価値に帰属します。
よって院外の異業種の方々からの個人評価には繋がりにくいのです。
早い話が、病院内では所属している人たちから「リハビリテーション科の〇〇さんは頑張っている!」という評価を得られていても、外部の人からは「〇〇病院は頑張っている!」もしくは「〇〇病院のリハビリテーション科はいいね!」という評価になりやすいということです。
もしも、あなたが行政や企業などと連携し、何らかの活動をしようと考え、病院での実績をプレゼンしても、ほぼ門前払いです。
専門性のある理学療法士や他のコメディカル資格があってもそれは関係ありません。
あなた個人でやっていることは何なのか?あなたじゃないといけない意味があるのか?どんな実績があるのか?
これなしに、個人でなにかをさせてもらうチャンスをもらおうとすることは、売れていない歌手がいきなりメジャーデビューのチャンスと場所をくれ!と言っているようなものです。
職場内の状況を知りえない第三者の評価はそれだけ厳しいものとなります。
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個人力が認められた活動や実績の例
例えば私の場合ですと、障害者の外出支援の観点から、GoogleMapにて多機能トイレMAPを個人で作り公開しました。(ただのトイレMAPではなく、壁側のL字手すりの左右まで表記しています。)
ものすごく手間でしたしたが、行政が作るのを待っていては、らちがあきませんし、やる気があれば個人でも出来る事なので、外出支援用の地域情報サイト運営の一環としてすすめました。
すると、見ていただいた方々から、そういった活動を発表する場を与えられ、付き添い型旅行の勉強会講師や地元放送局のTVやラジオで活動についてお話できるようになりました。
さらに地域おこし協力隊の方々との連携や、地域のキーマンとなる方々との繋がりも生まれ始めさまざまな活動に繋がっています。
当然ながら、これらの活動に所属の病院は一切関係ありません。
私個人に対する評価として生まれたものです。
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まとめ
私たちは専門職であるがゆえに、知らず知らずのうちに職場や資格の影響力を行使しようとしています。
ここがコメディカルのパラレルキャリア拡大を阻害する因子のひとつだと私は考えています。
経験、知識、技術、視点etc…
今まで得た財産を個人としてどう活用し広げるのか?
人や組織に頼る前に、泥臭くコツコツとやれることを模索しましょう。
その結果が個人力のビルドアップに繋がり、活躍の場を増やしてくれるのです。
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