病院勤務でありながら副業?-その障壁と実践例-

2017.8.27 キャリア, ライフスタイル
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野田卓也

野田卓也

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複数のプロジェクトへの参加や仕事をこなすパラレルキャリアという働き方。

 

政府が働き方改革を進め、大手企業で副業が解禁される中、病院勤務でそういったことができるのか?

 

これは多くの方が関心のあるテーマではないでしょうか?

 

おそらく病院や介護施設勤務の医療・介護職としては、まだまだ事例の数は少ないでしょう。

 

今回はそんな数少ない事例である私の経験をもとに、どのようにパラレルキャリアとして活動を始めたのか?をご案内したいと思います。

(photo by Fotolia)

最初に立ちはだかる壁「就業規則」

「就業規則で兼業(副業)は認められていないからできない」

 

これがダントツに多い。本当によく聞きます。

 

この就業規則。憲法上での拘束力はないと言われています。

 

これについては、憲法第22条第1項にて「職業選択の自由」が保障されている点が大きいです。

 

具体的には「何人も、公共の福祉に反しない限り、居住、移転及び職業選択の自由を有する。」 という部分ですね。

 

日本では、どんな人でも自由に職業を選べる権利を持っているのです。

 

ただ、就業規則の兼業禁止を無視し、無許可で兼業を行ったことで、勤務先に対し「雇用契約における信頼関係を著しく裏切る行為」といったような判例もあるそうです。

 

職業選択の自由に抵触しなくても、別な民法で抵触する可能性は捨てきれないところですね。

 

後者の判例を考えると、勤務先に無許可で行うことや、強引に始めることは愚策であることがわかります。

 

また、下記のような影響がでると判断される場合も厳しいと思われます。

 

・勤務先の名称や影響力を使った兼業(副業)

・守秘義務の反故、情報漏洩

・遅刻欠席など勤務態度の悪化

・勤務先の品位を落とす

・利益の損失を起こす

 

ざっくり言えば、「今の職場や働き方に、なんらかの悪い影響が出るなら認められないよ」ということですね。至極当然な話です。

 

ではこれを覆すものは何なのか?それが”信用”です。

 

(Photo by Fotolia)

信用が後押しする

皆、兼業(副業)というと自分のことを優先します。「あれしたい」「これしたい」「お金がほしい」「将来のために」etc..つまりは”自分のやりたいこと”を優先する。

 

これが前に出れば出るほど、勤務先との交渉は難しいものになります。相談されたほうは「なんて自分本意な奴だ」と感じることでしょう。

 

そこで大事になるのが”信用”となります。

 

かの有名な堀江貴文氏も最近のインタビューで答えていますが、ギブ&ギブおまけにギブと、見返りを期待することなく相手の助けになるものを与え続けることが、信頼を得る近道と言っています。

 

一般的なサラリーマン視点でいうと、信用を得るために重要なのは、”今以上に職場に貢献すること”です。

 

与えられた仕事のみならず、職場や上司に提案し自分にできることを提案し実行すること。もちろん、与えられた仕事ができていなければお話になりません。

(Photo by Fotolia)

実践例

私の場合ですと、通常業務に加え、病院HPの作成・運営管理や、病院行事などのチラシ作成など、一切の手当なしで行っています。ちなみに私が自分から事務長に提案し行ったことです。

 

また、広く活動すると、異業種の多くの方々にお会いする機会があるのですが、その際に病院の名刺をお渡しすることを必ず行っています。

 

これは病院の名称に頼って他の仕事をしているというわけではなく、その逆で「こういう活動をしていますが、通常はここで勤務しております」と伝えることが目的です。

 

病院というのは医師法で広告に関するガイドラインがあり、積極的に病院の知名度を上げるような広報はできません。(表現に対する制限がある)

 

なので、個人の活動の中でさまざまな方に病院の名刺をお配りし、どんな仕事をしているのか?どんな病院なのか?を直接、口でお伝えしています。

 

それにより病院を多くの事に知ってもらうことができる。

 

実に泥臭く地道な行為ですが、こういったことが地域と病院の距離を縮めることになるとも思っています。

(Photo by Fotolia)

まとめ

実際に兼業が認められたとしても、その後に本業の働きが悪くなれば問題ですし、兼業といえど病院で働いている看板は常に背負っているので、問題を起こせば間違いなく病院にも迷惑をかける可能性もあります。

 

ただ、そんな緊張感が仕事に緊張感をもたらしますし、兼業の活動も中途半端ではいけないという使命感も出てきます。

 

医療介護業界へのパラレルキャリア導入が、一般化するにはもう少し時間がかかりそうですが、それを加速させる方々が次々と生まれることを期待しています。

 

(Photo by Fotolia)

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