在宅でのしびれの評価・アプローチ方法について

2017.11.30 在宅医療, オモシロ
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はじめに

訪問リハビリテーションの現場では、日々様々な会話が飛び交っていますが、

 

「昨日から、指先がしびれて…」

「吐気とかはないけど、頭痛があって…」

 

なんてことをご利用者さんに言われたら、セラピストの皆さんは

どんな対応していますか?

 

 

『検査してもらわないとよく分からないのでとりあえず病院に。。。』

もしくは、

『その悩みを解決できない、私の心も痛み出しました(苦笑)』

なんて、言ってませんか?

 

今回はその提案の前に、

セラピストが 痛みやしびれの原因を鑑別するヒントをお伝えできればと思います。

 

痛み・しびれに悩む方の現状

私は理学療法士歴8年、訪問リハビリテーションに携わって、5年目になります。

今まで理学療法士として関わってきた方々は、十人十色の生活歴をお持ちで、姿勢や動作方法に多くの根本的な課題があっても、それでも今生活ができている場合、中々今までのスタイルを変更できない方が多いように感じました。

痛み・しびれに悩まされる方たちは、

姿勢や動作方法に多くの根本的な課題について話をしたとしても、

 

頭の中は「とにかく、この辛い症状を何とかして欲しい」でいっぱいなんですよね。

 

しびれの場合は正座した後の足のしびれなら理由がはっきりしていますが、

 

そうでない場合

 

「脳に何か問題があるのかしら?」 とか

「私の人生終わったかもしれない、、、」

 

とか言う方もいるくらいで、

それくらいご利用者さんにとって重大・かつ不安になりやすい症状ですよね。

 

検査を受けるまでの課題

さて、いいことなのか、悪いことなのか、病院は大盛況です。

 

ディズニーランドのアトラクションだって長くて3時間待てば乗れるのに、

MRIの検査受けるには数週間後ということもあります。

その間、しびれに悩まされている方の不安は増すばかり。

 

理学療法士として訪問した先で

何か解決の糸口になるようなことは本当にできないのでしょうか?

 

トリガーポイントという診方

ここで、今回お伝えしたいのが、「トリガーポイント(療法)」です。

 

この言葉、TVでも特集されたり、ご存知の方もいるかとは思いますが、セラピストが国家資格取得するための学習要件には入っていません。私も事実、資格取得後に学びました。
このトリガーポイント(以下、TPとしますね。)という症状の見方を知っていると、セラピストもしびれに悩む方も救ってくれる可能性があります。

 

知っているだけで、やり方を変えられることってありますよね。

 

トリガーポイントとは

TPとは非常にざっくりいうと

「押したところ以外にも痛みをとばす、筋肉の凝った場所」です。

痛みの引き金(トリガー)になる点(ポイント)です。

こっちの方が分かりやすいですね。もちろん筋肉に引き金がついている訳ではありません。

 

TPができる理由は、一番は筋肉への負担です。

急性的なものもそうですし、慢性的でもそうです。

よくない姿勢をとり続けてもできてしまいます。

 

押したら痛いけど押さなきゃ特別痛くもない時は、TPがあるけど不活性という感じです。

不活性なTPが活性化しちゃう要因として、疲労感情的なストレス栄養不良冷えなどがあるといわれます。

 

だから、これといったきっかけがなくとも

「朝起きたら急にしびれが!」

なんてこともあるんですよね。

 

トリガーポイントを知ったことで、できること

一番この記事で知っていただきたいことです。

TPの関連痛は、ある程度パターンが分かっていることです。

 

つまり、ある程度そのご利用者さまの生活様式を知っていて、関連痛のパターンも知っていると

痛み・しびれの訴えがある時に、

「あれ、〇〇筋のTPかな?」

ということを考えられるようになります。

 

普段のプログラム提供中の1つの雑談をTPの有無の確認にあてるだけ。

もしそれでしびれの増悪がみられたり、関連痛がみられたら、そのまま押圧してほぐす、温める、負担のかからない生活方法の提案に進めますし、違ったとしても、『〇〇筋のTPの可能性が低くなった』という評価が上乗せされたので、今後のアプローチには問題ありません。

 

現状の課題解決に向けて

在宅で療養し、かつ訪問リハビリテーションで関わるご利用者さんは、比較的通院が困難な方が多いと思います。

だから精密検査受けるのが、時間的にだけでなく物理的にもハードル高いんですよ。

 

今回のTPという視点をもつだけで、

あなた自身もあなたが担当しているご利用者さんを含めた、

多くの痛み・しびれ難民の生活の質をあげる支援ができます。

 

症例紹介

実際にあったケースを二つ紹介します。

 

①80代後半の女性

腰・首の手術歴があり、僕が訪問担当になった時点では、腕~指先のしびれが徐々に強くなって困っているという方でした。医師からは再手術を検討しないと…とまで言われていました。

しびれが強くなるのは寝る時。(この方は、基本横向きで寝る。)

ふむふむ、横向きで寝ることで、長時間圧迫される筋肉。

腕~指先にしびれを引き起こすTP。。。

あるんです!

 

訪問時の押圧にて、しびれが再現されました。

週に1回のアプローチで、1ヶ月せず、しびれは軽快しました☆

 

その後、私は半年以上担当していましたが、指先のしびれの訴えはありませんでした。

 

②20代後半、仕事と育児にハードな毎日を送っている方

ーというか、実は私の妻です(笑)

TPのことを学び始めてから、私の練習相手を買って出てくれています。

 

もともと肩こりがひどくなると同じ側に頭痛が出現。

頭痛で悩む妻を救うべく、受診する時間もお金もないので
これで落ち着けばラッキーくらいでTPに対してアプローチすると、頭痛は落ち着きます。

 

 

今では「あー、関連痛出てるわ。今日(TP)できる?」くらいで聞かれます。

 

家族の平和を守るため、

医療費抑制のため、

夫は家でもリハビリテーションに従事しております。

 

おわりに

現在、僕はこの記事を楽しみながら書いています。

 

ただし、姿勢は最悪。

頭を前に突き出し長時間。

 

 

この間に、僕の体にはTPが次々とできているでしょう。

 

これがT-ポ〇ントだったら

  どれだけうれしいことか!笑

 

それで今日のお酒とつまみでも買えるのではないかと思うのですが、実際はただただ、関連痛に悩みやすい体を作っております涙

アルコールを飲むと、その代謝にビタミンを使うので、翌朝もしかしたらしびれが出てるかもしれません。

 

でも、どうでしょう。

 

これを読んだあなたは

読み始めのころのようにドキっとすることも、

笑えないジョークで話をそらすことも、

とりあえず受診なんて、誰でもできる提案をすることもないでしょう。(時には必要なことですが。)

 

きっとどの筋によるTPが可能性を考え、セラピストのできることの範囲内で鑑別し、それを踏まえて医師らとも連携できるでしょう。

 

そういったセラピストが、一人でも増えれば幸いです。

 

参考

・筋膜マニピュレーション 実践編筋骨格系疼痛治療

・エビデンスに基づく疾患別クリニカルマッサージ 評価と治療

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