【最新版】PT・OTの「給料」は35歳までに決まる!? その理由と給料アップの方法を考えてみた

2017.9.21 ライフスタイル
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いきなりですが、PT・OTの【働き方】って養成校で習いましたか?

 

この質問を投げかけると多くのPTやOTは「No」と回答するでしょう。

 

今日は、そんな【働き方】について考えるのと同時に、多くの人が関心をもつ給料について掘り下げて【35歳】という具体的な数字を出して考えてみたいと思います。

 

PT・OTの働き方改革は個人から起こっている

昨今の【働き方改革】の流行で、世間一般ではキャリアデザインや転職、副業などの【働き方】をテーマに盛り上がりを見せているわけですが、こと医療や介護の様子を見てみると【働き方】という点で目立った話題を耳にしません。

 

一方で、国立病院にも労働基準監督署の調査が入る時代になってきたこともあり、「病院はだから安心。倒産なんかすることはない」という神話が崩壊するのも時間の問題となってきた感があります。

 

大枠で見るとそんな感じなんですが、危機感を持っている(であろう)PTやOT個人に目を向けると、【働き方改革】を自分なりに体現してきている人が増えてきている印象を持ちます。

 

それは後ほど書くとして、今の現状を整理してみます。

 

例えば、職場や仲間内でこんな話はしませんか?

 

「職場の給与がいっこうにあがる見込みがないけど転職どうしようか・・・・」

 

「今後、診療報酬や介護報酬が減るらしいけど、将来どうなってしまうのだろうか・・・・」

 

「結婚して、子どもができたら今の給与でやっていけるのだろうか・・・・」

 

などなど、

 

このような話題が飲み会の席などで一度や二度でたことがあるじゃないでしょうか。

 

昨今、PTやOTの職場で問題になっているネットワークビジネス蔓延もこうした【漠然とした将来の不安】という背景から生ずる事案だと感じます。

【重要】マルチ商法・ネットワークビジネスに関する注意喚起 引用:岡山県理学療法士会

 

別に、給料が全てではないですが生活の安定基盤がないと患者さん、利用者さんに対してしっかり向き合えないことにもつながりかねません。

 

そんな中、冒頭で書いたように個人で【働き方改革】をしている動きが活発化してきています。

 

もう少し具体的に言えば、兼業でブロガーやセミナー講師、整体院やコンディショニングサロン運営、一般企業とのコラボレーション事業など、既存の枠組みを越えた働き方をする人が増えてきました。

 

こうした新しい動きに対しては【就業規則】の問題(詳しくはコチラ:病院勤務でありながら副業?-その障壁と実践例-)があったり、タイムマネジメントの管理が必須になったりと、一筋縄にはいきません。

 

が、しかし実践者が増えてノウハウが溜まってきていることや、国が副業を推進しはじめていることから解決は時間の問題かなとも感じています。

 

そうは言っても多くの理学療法士や作業療法士は今までの働き方とは変わらないのが現状です。

 

それに、こうした働き方が増加してきていると実感値として感じている人はそうそういないでしょう。

 

感じている方は情報感度の高い人と言えます。

 

これを【イノベーター理論】【キャズム理論】で説明してみます(下図)。

 

『キャズム――ハイテクをブレイクさせる「超」マーケティング理論』 ジェフリー・ムーア=著/川又政治=訳/翔泳社/2002年1月(『Crossing the Chasm: Marketing and Selling High-Tech Products to Mainstream

ざっくりこの正規分布っぽいグラフの説明をしますと、ここで説明されている【イノベーター】と【アーリーアダプター】は新しいものを一般化される前にガンガン取り入れていく人たちで、

 

それより右方のアーリーマジョリティからラガードまでは右側にズレるにつれて最新情報に疎く変化を好まない層になっていきます。

 

このアーリーアダプターとアーリーマジョリティの間には深い溝(キャズム)があると言われています。これが【キャズム理論】です。

 

この溝を隔てて層が大きく異なるため、その商品や考え方が市場に普及する上で簡単に超えることができないといいます。

 

つまり、今現在【働き方改革】を個人で取り組んでいる人は、イノベーターやアーリーアダプターの層だと考えられます。

 

たいていの場合、この溝を埋めていくのに10年ほどかかると言われていますので、一般化するのにはそれなりに時間がかかるわけです。

 

こうした【働き方】やキャリアに関してはPTやOTの業界(あるいは医療や介護業界全体といえるかもしれませね)ではこれまでになかなか議論されてこなかったため、これから活況を見せると思います。

 

その中で、今日一つの指標として「35歳」という数字を挙げたいと思います。

 

ざっくり言うと、「35歳までにキャリア、給料、働き方ってのは決まってしまうよね」という話です。

 

どういうことか、以下に詳しく書いていきます。

(photo by Fotolia)

PT・OTの給料にまつわる論文

まず、PT・OTの給料にまつわる日下隆一先生が書かれている論文の結論を引用すると、

 

理学療法士・作業療法士の年収を賃金構造基本統計調査に基づいて精査した結果,コメディカル間における年収の比較では,やや低位にあることが明らかになった。

 

という内容が記されています。

 

そして、その理由としては、

 

相互に関連する教育システムと診療・介護報酬体系が主な要因

 

少し補足をすると、コメディカルの中では看護に次いで大学卒の割合が少なく(表1)、それでいて老人医療費の高騰に伴い点数の引き締めに合っていることで給料がなかなかあがらないよね、ということです。

(表1)

まぁここまでは一般論として理解できます。

 

ここからが本題なんですが、こちらの表2を見て下さい。

(表2)

 

この表で注目したいのが、30-34歳と35歳-40歳の標準偏差の大きさです。

 

あきらかにバラつきが大きくなっていると言えます。

 

これは、PT・OTが急増し、平均年齢が30歳と若く、34歳以下で管理職が少ないことが影響しているともいえます。

 

ただし、35歳以上でバラつきが大きくなるという事実は変わらず、ここが一つの境界とも言えます。

 

ここで一つの疑問が沸きます。

 

「これは果たしてPTやOTに限ったことなのか?」

 

と、いうことで実際に境界であると推定される【35歳】という年齢に絞って検索をしてみました。

(photo by Fotolia)

 

どうやら「35歳が境界」説はPTやOT業界に限った話ではないらしい

実際にGoogleで調べてみるとこのような記事がヒットします。

 

「35歳を過ぎるとなぜ頑張らない」に共感集まる 「昇給見込めずどう手を抜くかになる」「10年仕事してると驚くこともない」

 

人間は35歳から仕事に嫌気がさすことが調査で明らかに

 

「35歳以上」を企業が欲しがらない理由

 

35歳以上の転職 うまくいかない最大の理由とは?

 

今のままでいいの? 35 歳は仕事の分岐点

 

いくらもらっていれば適正年収?35歳の平均年収を徹底調査

 

挙げればキリがないですが、こんな感じでしょうか。

 

結構あります。

 

つまり、おそらく、キャリアにおいて【35歳】というのはPT・OTに限ったことではない境界と言えるかもしれません。

(photo by Fotolia)

雇用する側としては35歳をどう見ているのか

もう一つの視点として、求人情報などを見ていると募集要項に「年齢35歳くらいまで」といった記載を見かけることが多くあります。

 

これ、何か根拠があるわけではないのですが、雇う側の組織としては「35歳」という年齢を一つの区切りとして、「ミドル転職」という言葉に代表されるようにリーダーやマネジャー、管理職のポジションを求めていると思われます。

 

つまり、さきほどの表でPTやOTにおいても35歳でバラつきが大きくなる要因は、管理職やリーダークラスになっている人とそうでない人が分かれ、前者には諸手当てが発生することが年収差に表れているといえます。

 

ざっくり、仮説としてまとめるとこの3つの理由になりますかね。

 

【35歳までにPT、OTの給料が決まると思う3つの理由】

①その時点で管理職(候補)かどうかすでに決まっている

②時間的・金銭的・体力的にこれまでのように学べなくなる

③新しいことに挑戦するモチベーションがなくなり保守的になる

 

逆にいうと、【組織内で出世する】あるいは【転職で自分を高く売り込む】ためには35歳で管理職を目指せるポジション(知識や技術、経験)にいなければ給料は上がらないとも言えます。

 

組織内で出世するためにはココがポイントかもしれません。

 

もちろん技術を磨いて、研究して発表して、論文書くというのは職業人としては高めるのは当たり前です。

 

その上でリーダーシップやマネジメント能力を発揮し、「役職」に抜擢されて手当を付けてもらうしか給料アップの方法はないといえます。

(photo by Fotolia)

若い世代には大きな課題がある

ただ、特に若い世代には大きな問題があります。

 

その一つは、「役職に就く椅子の数には限りがあるよね」ということです。

 

つまり、大きく事業展開している法人ならまだしも、これからその見通しのない法人に所属している場合、ざっくり「リハ部門の課長」あるいは「技師長」といった数に限りのあるポストしかありません。

 

しかも、今の20代のPT・OTが35歳になるころにはもうそのポストは埋まっています。

 

さらに、同年代の数が多いため、かなり熾烈な競争が待ち受けています。

 

なので、先ほどの方法での給料アップの方法は難しくなります。

と、断言したいところですが、

 

決してそういうわけではありません。

 

例えば、働く場所にこだわらなければ、今現在であれば病院の給料よりも訪問リハ事業所の給料のほうが高かったりします(このあたりは診療・介護報酬に左右されます)。

 

決して管理職にならなくても一般職のままで給料アップする方法はあります。

 

そうは言っても、やはり10年以上続けていたら部下もでき、職場に愛着は沸くので簡単に転職できないものです。

 

そういった意味で、現職場にいながらかつ管理職に”なれない”場合の給料アップの方法を網羅的に考えてみます。

(photo by Fotolia)

35歳からでも遅くない!?給料アップの方法

  1. 掛け持ちアルバイト
  2. インターネット・投資等
  3. セミナー運営・セミナー講師
  4. 非常勤講師(大学や専門学校、その他)
  5. 整体院・サロン運営
  6. 本の執筆による印税
  7. 企業等との共同プロジェクト

1.掛け持ちアルバイト

本業の休み、空き時間などを活用して非常勤で勤務する方法。一般的なダブルワークになります。PTやOTの資格を活かして訪問リハビリやクリニックでアルバイトをする事例は多いです。また、スポーツジムなどでトレーナーとして働く場合もあります。コンビニなどで働く場合もあるようです。

 

2.インターネット・投資等

インターネットだとブログを書いて広告収入を得たり、YOUTUBEで広告収入を得る方法が流行っています。最近では電子書籍やnoteなどを使い課金をするモデルや、独自の会員やサロンを構築するモデルも出てきています。加えて、FXや不動産投資、ビットコインなどへの投資も簡単にできるようになってきています。

 

3.セミナー運営・セミナー講師

セミナー運営を行う人が全国各地に増えてきています。そのためセミナー講師としてオファーを受ける数も多くなってきています。自主開催する人も増えてきています。ただし、教える側の質の担保が問題視されている側面もあります。

 

4.非常勤講師

病院とつながりがある専門学校や大学に非常勤講師として教える場面も多くなることが予測されます。養成校以外でもスポーツ分野等では現場スタッフに教えに行く場合もあります。

 

5.整体院・サロン運営

週末に整体院やコンディショニングサロンの運営をする人も増えてきています。開業権がないことや景品表示法の問題等議論されていますが、予防の分野で確立されつつ流れではあります。

 

6.本の執筆による印税

大学の先生方に多いですが、専門書を書くことによる印税が発生することがあります。

 

7.企業との共同プロジェクト

医療機器開発メーカー等と相談して専門性のあるPTやOTの助言。プロダクトの開発に参画することも考えられます。

 

もちろん、これらを実践する上では職場の就業規則との兼ね合い、個人事業主としての開業届提出、白色・青色確定申告の提出などが義務としてある場合があります。

 

そのあたりに関してはリテラシーを高め、コンプライアンスの遵守をしていくことは前提条件として求められます。

(photo by fotolia)

おわりに

以上、PTやOTは35歳がキャリアの帰路で管理職を目指さないと給料は増えないが、こだわりを捨てれば一般職でも様々な方法で給料アップは可能です、という話でした。

 

PTやOTの業界では、脱サラして35歳を過ぎた「新人」は数多く見受けられます。そのため、一概に年齢でくくることはできませんが、圧倒的にストレートでの有資格者が増えてきているためあえて35歳という年齢でくくりました。

 

患者さん、利用者さんだけでなくPTやOTもよりよい人生を送るために、こうした選択肢があるということを知っておくといいかもしれません。

参考・引用

日下隆一:理学療法士・作業療法士の給与総額とその規定要因について(2013)

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