皆様、いつもお読みいただきありがとうございます。
病院勤務でパラレルキャリア実践中の野田です。
先日、追加実習で一人の学生さんを受け入れたのですが、その学生さんとの話から今の時代のキャリア思考について考えさせられましたので、今回は【「資格」ではなく「スキル」を活用するキャリア思考】というテーマでお伝えしたいと思います。
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目次
資格価値への落胆
学生さんに対する守秘義務がありますので、あまり詳細に状況をお伝えすることはできませんが、受け入れた学生さんは社会人出身で成績も芳しくない方でした。
諸々理由はあるのですが、お話をさせて頂いた中で最も気になったのが「頑張って理学療法士の資格を取ってもそんなに給料はもらえないし、今後どうなるかもわからない」という不安の吐露です。
資格が持つ将来性や資格価値に対する不安感がモチベーションを下げていたようです。
これは理学療法士に限らず、多くの医療・介護職に共通することです。
それに拍車をかけたのが、インターネット上にあふれる”理学療法士の将来”に対するマイナス情報。
「こういったことが書かれていたのですが実際どうなのでしょうか?」
臨床的な質疑応答ではなく、不確実な未来への質疑応答が続きます。
「頑張って資格を取ってもリストラされることもあるのですか?」
「介護施設とかの就職って不安はないですか?」
今、読まれている読者の中には、ここまで読んでイライラされている方もいるかもしれません。
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資格や就職先の力に頼るのは時代遅れ
意見交換をする中で私が彼から感じたのは、”資格を取れば安泰なら頑張れる”という安直な意志でした。
ただ、ここで安直と表現しましたが、同様の意志で、これまでどれだけの数の医療・介護職が誕生したのでしょう?
また一方で、その方々の中からも医療や介護業界に多大な貢献をされた方がいるのも事実なのです。
安泰と安定の落とし穴
私は、きっかけはどうあれ、のちのち専門職として対象者の為に頑張れるのならばよいと考えています。
ただ、一方で”資格を取れば安泰”という思考は、業界や多くの職場において、業務改善、教育改善、社会情勢への適応への怠惰を招いたとも考えています。
また、資格を取れば安泰という思考と同様に、安定志向というものがあります。”〇〇に就職すれば安定”という話はよく聞きますね。私は昔からこの考えが大嫌いでした。
ついでに言えば”終身雇用も年功序列”も大嫌いです。
なぜ嫌いかといえば、組織に加入するだけで安定が得られたり、資格の所持だけで安定が得られたりすることは裏を返せば、自分の努力と無関係ということになります。
先駆者が作った成果に乗っかるだけ……
だれが就職しようと安定がうたわれる仕事とはつまりそういうことです。成果を上げなくとも雇用が守られ、年齢に応じて所得が上がるというのも同様ですね。
大手に就職すれば勝ち組?
最近、経済ニュースで国内3つのメガバンクが行う業務改善策が話題になりました。
「3メガバンク計3.2万分業務“大リストラ”&店舗縮小、一斉表面化のワケ」
大手銀行に勤めれば勝ち組?そんな話もどこ吹く風。就職先も資格価値も同様です。
医療・介護業界というのは一般業界から遅れて時代の流れが来ます。
病院だから大丈夫とか、公務員だから大丈夫とかいう思考ではキャリアアップも望めないでしょう。
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資格=人生?
理学療法士に限らず、多くの医療・介護職で将来を悲観する人は、資格=自分の人生になっています。
そういった方は、キャリアアップに関しても、すべてベースに「資格ありき」で物事を考えがちです。
その考えが前述した資格に対するモチベーションに繋がっているように感じます。
もちろん、国家資格には法の中で専門職として定められた働き方があります。
それを軽視しましょうというわけではありません。
ただ、資格に人生の全てを委ねることは、時流や政治の流れに自分の人生を無条件で委ねることと同じ。
協会がどうした。政治がどうした。という前に、なにが自分にできるかを考え、自分で人生の舵をとることの重要性を今一度考える必要があります。
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スキルと人生歴の掛け合わせ
よく資格を活用するという言葉を聞きますが、資格を活用することは資格に縛られた思考になり、やれることを制限してしまいます。
資格とは人生の一端であり、スキルの一端です。
なので、私が提唱するのは、スキルの活用と人生歴の掛け合わせです。
私は現在、ブロガーやライター、フォトグラファー、動画クリエーター、サイト管理、ラジオ出演など多様なタスクをこなしています。
それらは全て人生における経験やスキルを他の物事に掛け合わせた結果です。
ではどのようにしていったのか?
私の実例をみていきましょう。是非参考にしてください。
社会人×専門学校生活=ブログスキル
社会人から理学療法士を目指し、専門学校に入学することを決意した私はさまざまなことをインターネットで調べました。
勉強量、授業料、実習、就職……正直なところ序盤で書いた実習に来た学生さんと変わりませんね。
ただ、今のように情報は多くなく、社会人出身者の学校生活というものが全くイメージできませんでした。
なので「自分自身の学校生活が役に立つかもしれない」と入学前から卒業までの間、ブログを書き始めます。
結果、これが文章を書くというスキルやHTMLというブログやホームページ(以下HP)を構成するプログラムのスキルを身に着けさせることとなるのです。
国家試験の経験×ブログ×HP作成スキル=ライター
卒業後、国家試験の経験とHP作成スキルを活かし「理学療法士・作業療法士 国家試験対策 WEBで合格!」を作成。
さらに国家試験の解き方、勉強の仕方、実習の経験などをブログで書いていたところ、All Aboutの編集さんよりお声掛けいただき、理学療法士試験ガイドとしてライター契約を結ばせていただきます。
これによりWEBライターとして、文章校正や表現について学ぶ機会を得ました。
理学療法士×ライター経験×地域ブロガー×写真=人脈
そののち理学療法士として現場で働く中で、よく見聞きする事象についてどうするべきか?を私は考えていました。
それは「退院後、地域や自宅に戻っても家にこもってしまう」患者さんや利用者さんの事。
いくらセルフエクササイズや介護サービスを提案しようと、それをこなすだけの義務になってしまいご本人の主体性がない。
- 家から出たいと思えない。
- 家から出ても出た先で迷惑をかけないか心配だ。
- 出先の環境がわからなくて不安だ。
そういった要素を排除して、地域の魅力を紹介し外に出たいと感じてもらうことはできないだろうか?
そこからライター経験とブログ経験を活かした地域情報サイトの運営が始まりました。
もちろんそこで取り扱う内容には、飲食店、観光スポットのバリアフリー環境や車いすトイレマップなど、理学療法士の視点も折り込みます。
文章だけでは伝わらないので、一眼レフカメラやドローンを購入し、写真のスキルも高めました。
そうすると自然と”まちづくり”を考える多くの方々からのオファーや人脈が生まれ、外部媒体の観光ライター、タウン誌の連載、WEB媒体の身体メンテナンスの連載、TV出演やラジオ番組のレギュラーコーナーを持つに至りました。
さらに続く新たな活動
現在は写真スキルを昇華させ、寝たきりの方でも楽しめるものをとVRパノラマ写真や動画コンテンツの作成も手掛けています。
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まとめ
人生の中で得た経験やスキルというのは、まさしくキャリアであり、それを掛け算することで、多くのものを得ることができます。
こう考えると、職場や資格に囚われて働き方を小さくまとめ、能力を抑え込むことはもったいないと考えています。
無論、私のような働き方の場合、基本的に立ち止まることがありません。多くのタスクをこなし得た利益は、また次のタスクにつぎ込みます。
ただ、そこに不安感などありません。未来を恐れ、ちまちまと働くよりもずっと幸せなこと。
某政治家の言葉を借りれば、
「朝は希望を持って目覚め、昼は懸命に働き、 夜は感謝と共に眠る。」
ただそれだけです。
皆さんの今までの人生、掛け合わせられる経験はないものなのでしょうか?
人間は生きてきた以上、「0」ということはありません。
キャリアアップの種は皆持っています。
資格の価値に囚われすぎず、過去から未来を開いていきましょう。
それが、今、日本が抱えている社会課題を解決し、キャリアアップにつながると私は信じています。
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