今回はいち医療職としての視点も踏まえての「自立」とは何か?
についてお話しできたらと思います。
医療介護専門職は「患者さま、利用者さまのQOL向上、幸せの支援」のために、日々医療‐介護サービスを担っています。
その中で、QOL(人生の質)の向上のために「自立」というのがテーマ、ゴールになることは非常に多いと思われます。そう、自立支援というのは私たちにとって重要な支援テーマです。
「自立」には主に4つの種類があると言われています。
「身体的自立」「精神的自立」「経済的自立」「社会的自立」です。
その中で、地域医療スタッフが支援する上で訪問看護・リハであれば「身体的自立」、障害福祉サービスの就労支援B型、就労支援A型、移行支援などでは「経済的自立」に対しての直接的なアプローチが多くなるといった印象でしょうか。
では、「精神的自立」、「社会的自立」とはいったいどういったことでしょうか。
「自立していないね~」など曖昧な形で表現されたりしますよね。
明瞭は定義はないようですが、今回はちょっと踏み込んでみたいと思います。
目次
精神的自立性尺度。精神的な自立度はこれで測れる?!
精神的自立度の「評価」については面白い評価スケールがありました。
「精神的自立性尺度」というものです。
自分自身が物事を決定し、その決定したことに対して責任がもてるという態度を表す「自己責任性」、ならびに、自分の生き方や目標が明確であることを示す「目的指向性」の下位尺度より構成されています。
その項目を一部抜粋します。(引用元:国立長寿医療研究センターより)
1点(そう思う)
2点(どちらかというとそう思う)
3点(どちらかというとそう思わない)
4点(そう思わない)
で、点数が低い方が精神的自立度が高い。と評されます。
・趣味や楽しみ、好きでやることをもっている。
・これからの人生の目的をもっている。
・何か夢中になれることがある。
・何か人のためになることをしたい。
・人から指図されるより、主体的に行動する。
・状況や他人の意見に流されない方だ。
・自分の意見や行動には責任をもっている。
・自分の考えには自信をもっている。
これはあくまで、ひとつの評価スケールですが、このスケールを用いた場合、精神的に自立しているという人は決して多くない印象を受けざるを得ません。
さらに私自身が考える「精神的自立の条件」は、上記の評価項目と重複するところも多いですが、
シンプルに一言でいうと
「自分の人生にきちんと責任感をもって生きている人」
と言えると思います。
例えば、以下のような事が重要でしょう。
人生の理念(目的)、ビジョンが明確である。
何のために、誰のために、何故生きていくのか?
その為にどうなるのか?
どうなりたいのか?
もっとも大切にしていることは何か?
「7つの習慣」(著者:スティーブン・R・コヴィー)でいうところの
第2の習慣「終わりを思い描くことから始める」
自分にとって本当に大切なものを知り、それを頭の中に植えつけ、そのイメージどおりになるように日々生活していれば、私たちの人生はまるで違ったものになるはずだ。
これがまず、最も大切なことだと考えます。
周りへの利他的(貢献的)な行動がとれる。WIN-WINを築ける。
利己的な行動ではなく、主体的に誰かのため、周りのため、の行動がとれること。WINWINな関係を周りと築くことができること。
「7つの習慣」でいうところの
第4の習慣「Win-Winを考える」にリンクしますね。
Win-Winの根本には、全員が満足できる方法は十分にあるという考え方がある。誰かが勝者になったからといって、そのために他者が犠牲になって敗者になる必要などない、全員が勝者になれると考えるのである。
大変重要なことです。
問題や課題が生じた時に「人のせい」にせず、まず自分事として捉えることができる。
◯◯だからダメなんだ。
◯◯のせいだ。不安だ。不満だ。
ではなく、常に自分の◯◯が反省点だ。改善し、次に活かそう!
という自責的、前向きな発言を多く発することができるが重要です。
「7つの習慣」でいうところの
第1の習慣「主体性を発揮する」ですね。
誰が正しいかではなく、何が正しいかで決断、選択できる。
周りに流されず
自分の人生の目的、組織の理念を軸に物事を選択できている。
そしてそれは周囲にもプラスに働く選択である。プラスな影響力があることが大事です。
上司が◯◯言ったから、、、
親が◯◯しろと言ったから、、、
こんな発言をする人は、自分軸がなく
言い訳しているだけになってしまいますよね。
自分の人生の選択と決定をしているのは自分以外いません。絶対いないのです。
「人のせい」にしてしまうのは
まさしく自立していない状態ですよね。
「他者に依存」、ではなく「他者と共存」できている。
WIN-WINを考える。
ともリンクしますが、自分でできることは責任をもって自分で行い
自分ができないことも責任をもって誰かを信頼し、依頼する。
依存的な人は自分の行いも、他者への依頼にも無責任、他責になってしまいます。
改めて考えると「精神的自立」とは
大きくいうと
「人生の自立」
といえるのかもしれません。
「身体的自立」より難しい「精神的自立」
世の中には
車イスの方
四肢麻痺の方
がんの方
パーキンソン病の方
など個々に障害、病を抱えていながらも人生においては
「成功」している人はたくさんいます。
その方達は「身体的自立」は残念ながらできていない方もたくさんおり
障害があり、様々な介助が必要な方もいます。
しかしそういった方達でも「精神的自立」成されており
様々な場で活躍している方も多いのが事実です。
そして
その方達は自分の人生理念、目的が明瞭であり
常に責任感をもち
周囲に貢献するために、社会を良くするために、一生懸命働かれている方がほとんどです。
つまり「身体的自立」はされていませんが
「人生の自立」
は明らかにされているということではないでしょうか。
この普段私たちも使っている「自立」「自立支援」という言葉。
じっくり考えると大変感慨深いものであります。
何か気づきや感じてもらえるものがあれば幸いです。
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