地方が「高齢者×地方活性化」に消極的な理由と時代の変化

2016.2.1 ライフスタイル
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さやや

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医療・介護・福祉が充実していて良かった!

私は北陸地方に住んでいますが、自分が働ける障害者施設が地元で見つかって本当によかったと思っています。それを思うと、介護難民や待機児童の当事者やご家族の方は大変なんだろうなぁと想像したりもしています。日本のあるいは地方の医療・介護・福祉の発展を願うきっかけになりました。

 

最近、「地方創生」という言葉を耳にすることが増えてきました。

 

地方創生

国内の各地域・地方が、それぞれの特徴を活かした自律的で持続的な社会をかたちづくること。魅力あふれる地方のあり方を築くこと。

「weblio辞書」より引用

http://www.weblio.jp/content/%E5%9C%B0%E6%96%B9%E5%89%B5%E7%94%9F

 

地方創生は安倍内閣が掲げる主要政策のキーワードでもあります。

 

地方創生の背景には、日本が抱える次のような問題があります。

  • 人口減少
  • 東京圏への人口一極集中(特に地方の若者の首都圏への流出)
  • 少子高齢化

「地方消滅」という言葉もあるくらいです。

各地方自治体は、地域の活性化を図り、若者に呼びかけ、若者の誘致に必死です。

しかしおわかりの通りで、どの地方自治体も若者の流入を増やし、若者の流出を減らそうとするので、地方自治体や都心部の間で若者の取り合いになっているのが現状ではないでしょうか。

 

高齢者×地方活性化

そのような中、民間研究機関「日本創成会議」は「高齢者×地方活性化」を打ち出しました。

若者に地方への移住を勧めるだけでなく、高齢者に地方への移住を勧めたのです。

東京でも高齢化が進んでいるので、今のままでは首都圏で病床や医者が足りなくなるためです。

 

私は、高齢者の地方への移住を歓迎したいと考えています。

地方で、医療・介護・福祉が充実することは、地方にとっていいことだと考えています。私が障害者施設を見つけてうれしかったように、自分にぴったりの医療・介護・福祉の施設を高齢者の方が地方で見つけてくれたらいいのになぁと思います。

 

地方の住みやすさのことを考えると、高齢で都会にいるよりも地方でのんびり暮らした方が、高齢の方にとって幸せではないかとも感じます。

そうすれば地方は、住みやすさという面で、都会にはない地方ならではの強みを活かすことができるのではないでしょうか。

 

ところが、実際は様々な問題があるようです。

 

 

地方活性化_2

地方が都会からの高齢者の移住に消極的な理由

まず、地方は都会とは違う形で医師不足の問題を抱えています。医師が地域に偏在しているのです。

確かに「ベッドの空き」は多少は見られるかもしれません。しかし、地方には高度な医療が可能な医師の不足や人材不足の問題が横たわり、高齢者の方々をサポートできる医療福祉キャパシティ(収容能力)がないのではないかと言われています。

 

さらにこのような記事があります。

地方への高齢者移住の最大のネックは、(中略)医療・介護の自治体負担の問題である。都市部から地方へ高齢者が移住した場合、彼らは地方自治体の国民健康保険や介護保険に加入することになる。しかし、日本の高齢者の保険料負担はわずかであり、彼らの医療費・介護費の方が大幅に上回っているから、高齢者の地方移住によって地方自治体の負担が増え、住民の保険料が上昇してしまう。これでは、地方にとって、都市部から移住する高齢者は「お荷物」であり、受け入れに消極的になるのも無理はない。

SPACE NIRA

http://www.spacenira.com/columns/916.htmlより引用

 

 

もともと全国レベルで医師不足であったり、医師の地域偏在が問題になっていて、対応できるかわからないことに加えて、高齢者が地方に移住すると、地方に財政的な負担がかかってしまうのです。

 

そもそも、社会構造の変化に伴う長期的な財政的課題があっての「地方創生」であって、財政にさらにダメージを与える高齢者の移住を各地方がしぶるのもうなずけます。

 

今後の動向

2016年1月31日の日本経済新聞に次のような記事を見つけました。

高齢者の地方移住促進へ法改正案 政府、今国会に

 

政府は元気な高齢者が地方に移住する「生涯活躍のまち(日本版CCRC)」構想を制度化するため、地域再生法改正案を今国会に提出する。移住者の就業支援や介護サービスの提供環境の整備などについて、自治体と民間団体などの役割を明記。地方創生の実現に向け、官民が連携して高齢者の移住を促進しやすい態勢を整える。

改正案には2016年度に導入予定の「企業版ふるさと納税」の適用要件なども盛り込む。2月上旬に国会に提出し、今年度内の成立をめざす。

CCRCは大都市から移住した高齢者らが生涯学習や社会活動に取り組みながら、医療・介護が必要になった際は必要な支援を受けることができる生活共同体で、米国で広まった。日本での普及に向けた改正案では、高齢者を受け入れる自治体と共同体を運営する企業などが連携して事業計画をつくるよう求める。

介護事業者の指定や、移住希望者が試験的に居住する際の宿泊業者の指定などで手続きを簡素化できる特例も盛り込む。構想を法制化することで自治体の受け入れ準備を加速させる狙いがある。

企業版ふるさと納税は、企業が自治体に寄付した場合、寄付額の約6割に当たる額の税負担を減らす。対象は政府から認定を受けた地方創生事業に取り組む自治体への寄付に限り、財政力の高い都市部の自治体は除外する。

 

この記事を見る限りでは、政府は高齢者の地方移住を推進するつもりでいるようです。

今後は政府の後ろ盾によって、高齢者の地方移住が進むのではないでしょうか。

 

 

私の住む北陸は「住みよさランキング」などで上位に来ることが多いです。

北陸はもちろん、各地方が、高齢者を迎える準備をしてもよいのではないでしょうか。

それが住みやすさという面で、地方の強みを活かすことではないのかと、私は考えたりしています。

 

医療・介護・福祉に加えて、若者も高齢者もどちらも対象にした移住ビジネスが各地方で増加するのかもしれませんね。

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