対象者の “やる気” を定量的に評価する方法

2016.9.21 在宅医療, ライフスタイル
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何をするにも”やる気”が肝

明日から朝、走ろう!

これから毎日、日記を書こう!

 

メディアや書籍、人などに刺激を受けて、目標を立てたものの

やり始めたことを数日で止めてしまった経験を一度は経験したことがあるでしょう。

いわゆる、”三日坊主”です。

 

やろうと思ったことを、やり続けるには「やる気」が欠かせません。

物事をやり遂げる能力があったとしても、

やる気が起きなければ、実行することもないからです。

 

だからこそ、この”やる気”は、

病院、在宅を問わず、理学療法、作業療法をはじめとするリハビリテーションや日常生活動作の改善・向上させるためにも大切だということは多くの人に共感してもらえるでしょう。

 

では、この「やる気があり/なし」は、どうやって判断したらよいのでしょうか?

 

観察を頼りに判断するのでしょうか?

客観的なスケールで判断するでしょうか?

 

どちらも重要な判断材料だと思います。

私たちが、対象者の方に介入できる時間は限られていることを考えると、

スケールを用いた評価で状態を把握、予測を付けて注目点を定めながら、

観察によって確認することで、しっかりフォローできる可能性が高くなるからです。

 

無気力症状(アパシー)を評価する「やる気スコア」

対象者の「やる気」を客観的に捉える方法の一つとして、

1993年に、Starksteinが脳卒中後の方の意欲低下を捉えた報告に使われた「Apathy Evaluation Scale」が役に立つでしょう。

(Starkstein SE, et al. 1993. Apathy following cerebrovascular lesions. Stroke 24: 1625-1630.)

 

また、このApathy Evaluation Scaleは、

1998年に岡田らによって、日本語版にも翻訳されているので、臨床現場でも簡便に用いることができるのではないでしょうか。

(岡田ら. 1998. やる気スコアを用いた脳卒中後の意欲低下の評価. 脳卒中 20: 318-323.)

 

Apathy(アパシー)とは?

感情、情動、興味、関心の欠如と行動に対する動機づけの欠如と定義される。

感情の偏りは認められないことから、周囲の環境・集団とのかかわりに消極的で、悲観的思考である「うつ病」とは区別される。

◆Reference◆
Marin RS, et al. 1991. Reliability and Validity of the Apathy Evaluation Scale. Psychiatry Research 38: 143-162.

 

1998年に岡田らによって日本語訳されたものは、

下記の14項目の質問のうち、

1~8項目は、全くない:3点/少し:2点/かなり:1点/おおいに:0点、

9~14項目は、まさに:3点/かなり:2点/少し:1点/全く違う:0点、

回答するものです。

 

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スコアが高い程、やる気が低下していると評価でき、

16点以上を示す場合を、やる気の低下ありと判定するとされています。

 

先にも述べたように、人の生活に携わるにあたり、やる気、意欲との関係は切り離すことはできません。

やる気の経時的な変化を捉えてケアしていく必要を感じている方がいらっしゃれば、使ってみてはいかがでしょうか。

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