高齢者のケアをする医療職・介護職が、どれくらいストレスにさらされて不快な思いをされているかは想像に難しくありません。
私の知人も、介護の業界で働き、介護の業界の厳しさを話してくれたものです。
人生をまっとうしようとしている高齢者の方たちにいくらリスペクトの気持ちがあったとしても、現実は3K(きつい・きたない・危険)と呼ばれてしまうことがあります。
一日だけのお仕事ならともかく、そのお仕事を長きにわたって、自分の生業(なりわい)とされてる方々にさややは本当に敬意を表したいですし、今後そういう方たちがもっと増えてもらわないと、高齢化が進む日本が成り立たなくなります。
医療や介護の業界で、残酷な事件が起きることがあります。
その背景には、業界内の大きなストレスを感じずにはいられません。
どうしたら不快な思いやストレスを感じないで高齢者のケアができるのでしょうか。
「他人は変えることはできないが自分を変えることはできる」といった話を耳にします。
また「出来事の受け取り方は本人の気持ち次第」といったりもします。
確かにその通りだとは思うのですが
もし高齢者のお世話をする医療職・介護職にその考え方を押し付けてしまうのだとしたら
それは医療職や介護職の方の個人の力量やプロ意識に依存しすぎではないでしょうか。
個人のその時々の力量やプロ意識の差で、組織全体のサービスの質に違いが出たり、高齢者ひとりひとりへのサービスや対応が違ったりするのだと思うと恐ろしい話です。
さややが高齢になって介護施設のお世話になるときに、運悪く、親切さのかけらもない、個人としての能力が最悪な方がさややの担当となったら、こんな不公平なことがあっていいのかとさややは感じてしまいます。
それにプロ意識があればあるほど良いかというとそうでもなくて、プロ意識が仇となって、医療職・介護職のストレスにつながっていく可能性があります。高齢者にとってよくても、医療職・介護職からしたらしんどいことです。
日本のような高齢化社会では、医療・介護職のみならず日本社会全体が高齢者に優しくなることが求められているのではないでしょうか。
国全体としてモラルを底上げしなくてはいけないとさややは思います。
どうしたら医療職・介護職のストレスを減らすことができるか。
どうしたら医療職・介護職の個人の能力・プロ意識・力量・出来事への解釈・優しさなどに依存しすぎず、それでいて均一で高品質な医療・介護サービスを国全体として作り上げていくことができるか。
そういった議論が国中で活発になることを願わずにいられません。
私は具体的解決策を持ち合わせてはいませんが
今回は、介護職が感じているストレスについて紹介したいと思います。
介護職のストレスの紹介
最近では3K(きつい・きたない・危険)ではなく4K(きつい・きたない・危険・給料が安い)とも呼ばれる介護業界。
ストレスに関して、このような統計があります。
介護職のストレスの原因 ランキング
1位 仕事の大変さの割に給料が安い・・・ (68%)
2位 人が少なくて負担が大きい・・・ (59%)
3位 肉体的な負担が大きい(腰が痛い、傷が付くなど)・・・ (43%)
4位 利用者さんとの関係(コミュニケーションが難しいなど)
・・・ (33%)
5位 上司との関係(厳しい・無理な仕事が振ってくるなど)・・・ (31%)
6位 同僚との関係(自分勝手な人がいるなど)・・・ (28%)
7位 部下との関係(思ったより育たないなど)・・・ (27%)
出典:けあとも
ということで最もストレスを感じることが多い要因はなんと
1位 仕事の大変さの割に給料が安い・・・ (68%)
でした。
この骨幹の原因はいったい何なんだろう。
「給料」というものはいわゆる組織が経済活動を行い、それによって得られた収入(売上)を社員、スタッフに分配することで生じるものです。
しかし、介護・医療業界は一般の経済活動とは異なる点があります。
それは、事業者が「値段」を決めることができない、ということです。
実施している介護サービス等の値段は国が決めており、その値段が決まったサービスを国から受託してサービスを実施している状況なのです。
どのように「給料が安い」ということに繋がるかというと、事業者側が貰える収入を左右できないので、安易に給与を上昇させることが難しい、といった現状があるのです。
特に事業者自体に入っている介護報酬は年々下がる一方であり、平成28年度は過去最高の倒産件数となってしまっています。
東京商工リサーチの調査によると、9月時点で福祉・介護事業の倒産件数が累計77件に達し、昨年更新した年間最多の76件を上回ったことが分かった。「小規模で、参入間もない新規事業者の倒産が増えて件数を押し上げている」(同社)という。
倒産した事業者のうち、設立5年以内の事業者が約半数の36件(46.7%)。従業員数5人未満が53件(前年同期比39.4%増)となっており、小規模事業者の倒産が全体の約7割(68.8%)を占めている。2016年10月11日
出展:http://www.itmedia.co.jp/business/articles/1610/11/news097.html
出展:東京商工リサーチ
このような状況で「介護職の給与をあげろ」とだけ発信させられるのは介護サービスを担う事業者側にとっても介護職自身にとっても未来のない話になってしまいます
政府では介護職の処遇改善が実施されていますが、そもそもの年収が低いため、現在の日本における平均年収にはまだまだ追いついていません。
また、仕事の大変さについて、高齢の方の入浴や排せつ、食事など身の回りの世話を行うため介護の仕事は肉体労働です。高齢者の身体を抱えたりするときに負担がかかるほか、認知症等の利用者さんからやむなく暴力を振るわれてしまう職員も多いようです。
また、5〜7位は対利用者さんだけでなく、職場の人間関係もストレスに感じている方が多いようで
皆が仕事で(人間関係以外のことで)ストレスを感じながら仕事をしていると、自然と人間関係もぎくしゃくしてくるものなのだと思います。
それに加えて、「厳しい・無理な仕事が振ってくる」「自分勝手な人がいる」「思ったより育たない」などと感じると
職場の空気はもう最悪になってしまいそうです。
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医療・介護の業界で、高齢者も医療職・介護職もWin-Winとなるにはどうしたらいいでしょうか。
社会全体が高齢者に優しくなって、国全体で議論を深めなくてはいけない問題ではないかと思ったりします。
私はかつて、医療職が笑顔でいる意味について記事を書きました。
(参照:医療職の「笑顔」が医療の質に影響する?医療職が職場で「笑顔」でいるための4つの提案)
医療とか介護の世界の人たちが笑顔でいることは相当しんどいとは思うのですが
やはり笑顔でいて欲しいと願わずにはいられません。
それは患者目線とか高齢者目線でそう願う以外に
ひとりでもそういう人がいると、医療・介護の現場の職員みんなが癒されると感じるからでもあります。
「人は鏡」ともいいます。
誰かが笑ってると、自然と自分も笑顔になる経験は、誰しも一度はあると思います。
医療とか介護の現場は、笑顔が欠乏していて
ひとりの笑顔の影響力はきっと大きいと思うのです。
笑顔が人に伝染して広まっていくような組織づくりをしたらいいのかもしれないですし
さらには、国家レベルで、そういったことを考えることができたらステキなのに、と思いました。
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