障害者雇用がもたらす企業側への付加価値とはなにか?

2017.3.6 キャリア
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さやや

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障害者雇用は障害者の私から見ても、企業側のメリットがわかりづらいと感じます。

 

そもそも、障害者を雇用する企業は、当然、障害者を雇用するために存在している訳ではありません。

 

いくら合理的配慮が義務化されたといっても、合理的配慮を尽くすことが企業の目的となってしまったら、企業の経営ができているとは言えません。

 

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利益を最大化させることが企業のひとつの目的です。

 

利益が売上からコスト(費用)を引き算したものだととらえたとき

障害者が売上に貢献するか、人件費を含むコストを小さく抑えるか、いずれかができてないと

障害者は会社にいる意味がなくなってしまうと言えます。

 

言葉が不適切かもしれませんが、雇用した障害者の「あたり・はずれ」次第で、売上が左右されたり、コストが左右されたりすると思うと、恐ろしく感じている企業もあるのではないでしょうか。

 

なんとかして、あたりくじを引きたいと思う企業もあるかもしれません。

採用活動や障害者への個別配慮にお金を投資しやすい大企業があたりくじを引くことに有利なのもうなずけます。

そのため実際には障害が目に見え、客観的にわかりやすい、配慮しやすい、「身体障害」の雇用率の方が、「精神障害」や「知的障害」よりも障害者の就職数が高いことが事実としてあります。

 

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引用:厚生労働省 平成28年障害者雇用状況の集計結果資料より

 

 

巷で聞かれる障害者雇用のメリットは具体的なものと抽象的なものとがあると思います。

 

どういうことかというと、具体的なものとは、数字です。

抽象的なものとは、ものの見方や考え方だったり価値観の変化などです。

 

<例>

  • 廃業の多い業界で三期連続黒字
  • 成果主義で社員同士のコミュニケーションが少なかった職場で社員同士の会話が増えた。

 

どちらにせよ、障害者の「個性・特性」と会社の「個性・特性」のマッチングであり

時と場合によって結果(メリット)は異なると考える企業も多いのではないでしょうか。

これでは、一般的に言われている障害者雇用のメリットをどこまで信用したらいいかわかりません。

 

ただ、私は次のように考えています。

 

 

障害者を雇うことで蓄積される

会社経営のノウハウ(業務改善・職場改善のノウハウ)は、汎用性が高い。

 

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例えば、障害者に指導するときに骨の折れる思いをした方がたくさんおいでたとします。

 

骨の折れる仕事というのは

  • マニュアルの制作
  • 業務をする上での危険性や難しさ、課題などの抽出
  • 作業工程の見直し
  • 話し方・伝え方のブラッシュアップ
  • 組織・体制の在り方の見直し
  • それぞれの障害者の障害特性への対応

・・・etc.

 

だったとします。

 

しかしこれらの仕事に真摯に取り組むことによって、組織が団結し

業務改善・職場改善が当たり前の風土が生まれます。

 

 

その業務プロセスを直接的に経験した人、間接的に見聞きした人は

それ以降も業務改善・職場改善を担うことでしょう。

 

そして、そうやって障害者を通して培ったノウハウは、企業の固定的資源と呼ばれます。

(→詳細はコチラ

 

経営資源(固定的資源)の中でも、「情報(技術・ノウハウ・信用・のれん・ブランドなど)」に分類され

形を持たない資源であり、他の模倣や追随を許さないオリジナルな経営資源となるはずです。

 

人や組織、会社などすべてにいえることですが

イレギュラーな事態は

隠れた物事の本質(能力、思い、考え、可能性、危険性、リスクなど)をあぶり出し

さらに

眠っていた才能を目覚めさせるときがあります。

 

障害者雇用はここでいう「イレギュラーな事態」に合致すると思うのです。

 

組織や企業は、学習する姿勢さえあれば

障害者から「目先の損失」だけでなく「長期的な利益」も見いだせるはずです。

 

そして職場改善の意識自体、きっと健常・障害関係なく、汎用性の高いものであるはずです。

 

偶然という名の必然

私がかつてお世話になった就労支援施設の職員さんは

副次的ではあるけれど、障害者雇用によって得られる職場改善のノウハウが

会社にプラスの影響を与えた事例をいくつも見聞きしているとおっしゃっていました。

当然、企業は最初そんなことは期待していない訳です。

 

先述した通り、巷で言われている障害者雇用の成功事例は

マッチングが偶然うまく行ったからに過ぎないのでは?という疑問に関しては

確かにマッチングは、うまく行ったのかもしれないが

やはりどんなにいいマッチングであっても、企業側の努力があってこそだという話でした。

 

そういう意味では、偶然ではなく必然的に障害者雇用が成功したとも言えるのではないでしょうか。

 

********

 

職場改善の意識が強かったり、業務改善・職場改善について活発に議論が成される企業はきっと強いと思います。

障害者のためだけに、職場改善をするのではなく

職場改善で培ったノウハウの汎用性に目を向けてみてはいかがでしょうか。

 

得られたノウハウを無駄にしない姿勢が、障害者雇用を成功させる秘訣かもしれません。

 

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