同時改定に向けた「維持期リハビリ」の医療から介護への移行

2017.6.10 在宅医療
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hosokawa

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平成30年度の診療報酬・介護報酬の同時改定に向けて、にわかに騒がしくなってきました。

 

そんな最中、維持期リハビリでは現在、医療と介護の役割分担の観点から、医療保険から介護保険への移行が進められています。

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 現状を振り返ってみる

平成28年度の診療報酬改定では、

 

▷入院中の患者以外の要介護被保険者に対し、標準的算定日数を超えるリハビリを29年度末までに原則介護保険に移行

 

▷維持期リハビリの減算措置を拡大するとともに、介護保険でのリハビリを提供していなければ、さらに2割減算

 

▷社会生活への活動や参加に焦点をあてて目標などを設定した場合の評価として、「目標設定等支援・管理料」を新設

 

医療における維持期リハビリの現場では、介護保険サービスとの連携不足や、患者のニーズに合ったサービスを介護保険で継続していくことの困難さなどの課題があり、

 

円滑な移行が行えていないのが現状です。

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(写真:Fotolia)

 

このような現状のなか、4月19日に厚生労働省では中医協と介護給付費分科会の委員が参加した「医療と介護の連携に関する意見交換会」が開催され、

 

「リハビリテーション」、「関係者・関係機関の調整・連携」などについて意見交換が行われました。

 

「リハビリテーション」に関しては、伝えるべき情報の抽出や実施計画者の共通化、互換性の確保、連携パスの活用など、情報の効果的な共有・活用について意見が多く出されました。

3つの課題

主な課題としては、以下の(1)~(3)が挙げられています。

 

(1) 高齢者の生活を支えるリハビリテーションの実施
急性期・回復期において、早期の集中的なリハビリテーションにより、心身機能の改善・回復やADLの向上を図ることが重要ですが、加えて維持期・生活期のリハビリテーションを見据えて、活動や参加に関する目標を設定した上で、この目標に応じた心身機能の回復を図ることが重要です。

 

(2)疾患別リハビリテーションの維持期・生活期における対応
平成 30 年度から、発症等から標準的算定日数を超過した要介護被保険者等に係るリハビリテーションについては、医療保険から介護保険に円滑に移行する必要があります。ただし、治療の継続により状態の改善が期待できると医学的に判断される者について、適切に医療保険のリハビリテーションを行うことができるよう、配慮する必要があります。
介護保険への移行に当たって、リハビリテーションにかかる施設基準の違いや、医療保険とは別の事務手続の存在が障壁となるとの指摘があります。

 

(3)リハビリテーションに係る情報提供・情報共有
医療保険における実施計画書と介護保険における実施計画書との間では、記載内容は概ね共通していますが、連携・移行に当たって円滑に情報提供・情報共有が行われないために、介護保険のリハビリテーション事業所で再度記載が必要になる等の非効率な運用になっている場合があります。
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(画像:Fotolia)

 検討が必要な項目

これらの課題に対して、以下の視点での検討が必要となります。

 

▷急性期や回復期のリハビリテーションにおいて、目標設定支援の視点に基づくリハビリテーションをより一層推進することについて

 

▷疾患別リハビリテーションの維持期における介護保険への円滑な移行を含め、医療と介護との間で切れ目のない継続的なリハビリテーションを効果的に提供することについ

 

▷医療と介護の連携・移行をより効率的に推進する観点から、リハビリテーションにおける実施計画書等の在り方について

 

診療報酬・介護報酬の同時改定に向けて、医療保険から介護保険への円滑な移行のために、リハビリテーションの目標設定や情報共有のあり方を考えていく必要があります。

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