本当の健康とは?”働くコト”の重要性

2017.7.1 在宅医療, 在宅介護
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本当の「健康」とは何か?

これまでの医学は、疾病の発生や危険因子に着目した疾病生成論(pathogenesis)と呼ばれる、”病”を注目してきました。

 

しかし、病に対する治療は終了し身体機能も回復し、日常生活活動も修正自立にて行えるにも関わらず、中々外出できない、コミュニティに参加できない。

 

そんな方に出会うことはありませんでしたか?

 

これから私たちに求められるのは、健康はいかに生成されるのか、いかに回復/維持/増進されるのかに着目した健康生成論(salutogenesis)の考え方です。

 

健康生成論とは、従来の疾病生成論のような病気の原因となる危険因子を”取り除く”考え方とは反対に、健康になるための要因を”強化する”という考え方です。

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年を取れば取るほどに不幸!?

それでは地域高齢者にとって、健康になるための重要な因子は何でしょうか?

 

幸福感に着目すると、人の幸福感はほとんどの国において、通常、30代から下降をたどり40代で底を打ち、50代から盛り返すU字型カーブを描きます。

 

一方で日本の場合、最も幸せなのは25歳以下の年代でその後は右肩下がりで下がり続けるL字型カーブを描きます。そのため歳を取ればとるほど不幸を感じる人が多いようです。

 

その理由の1つが「仕事」にあります。

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仕事が介護予防になる

高齢者の方は日本の社会経済生活を営んできた世代にあたります。

 

これに関して隅谷三喜男氏は、

 

「社会の流動性が高まるにつれて、勤労が社会的、経済的地位の上昇に結び付くという意識が芽生え、それが高い勤労の倫理として根付いていたことが考えられる。勤労そのものが個人にとっても、社会にとっても大切なものと受け取られていた。逆に言えば、勤労にまさる高い日常的な価値が存在しないと考えられる。」(*2)

 

と述べています。

 

実際に、65歳以上の就業希望は8割を超え、雇用に対しての意識も自らの経験やスキルを活かす場があれば働きたいという就業意欲が高いデータも出ています。

 

医療介護専門職が地域づくりやコミュニティ事業に参画する際には、このような背景を知った中で関わる事が重要です。

 

もちろん介護予防の取り組みとして、運動や体操を行う事も大切かもしれません。

 

しかし、それ以上に「仕事」や「仕事」に変わる役割を提供する事や社会との繋がりを作る事によって幸福感を高める事が、健康に繋がる重要な因子になるのではないでしょうか?

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参考資料

*1:榊原正博,攻めの地域介護予防 健康生成論に基づいた地域リハビリテーション,地域リハ12(4),p346-349
*2:浦川安宏,高齢者の就業志向とその要因,第一経大論集19(4)
*3:東洋経済ONLINE,2016,6.11
*4:みんなの介護ニュース,2015.9.11

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