全国で認知症施策において、認知症のある方の視点を重視して施策を進めていくことの重要性が認識され、各地で様々な取り組みが行われています。
例えば、認知症カフェや本人ミーティングを開いて、実際の本人の声を拾い上げたり、認知症施策委員会の委員に本人に参加してもらうといった取り組み等が挙げられます。
今回はその中で、施策の評価においても本人が参加する仕組みがある、京都府の取り組みをご紹介します。
(photo by Fotolia)
京都式オレンジプラン
京都府における認知症施策は、府内の医療・介護・福祉・大学等39の関係機関で構成される京都地域包括ケア推進機構の認知症総合対策推進プロジェクトが、平成25年9月に「京都式オレンジプラン」として策定されました。
この中で、施策の評価の方向性として、英国の取組みが参考にされています。
英国の「国家認知症戦略」では、2009年からの5年間を、認知症ケアに関する政策やサービスの集中改革期間とし、
最終年にはどの程度まで改革が前進したのかを9つの質問を使い、本人や家族も参加して確認することが、開始年に定められていました。
京都府でも、この考え方を参考にして、認知症を生きる人から目指す社会の具体的な姿を、認知症の私を主語にした「10のアイメッセージ」として設定しました。
その上で、最終年のH29年に、本人や家族が「認知症になっても本人の意志が尊重され、住み慣れた地域で暮らし続けられる社会」になっていると感じているかを確認し、次のプランに反映されるために、
「10のアイメッセージ」について現在の状況を地域包括支援センターやケアマネージャーのサポートのもと、地域の本人・家族・支援者で評価することが定められました。
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認知症の方が回答しやすい質問とは?
また、プランに掲載されている施策ごとの達成状況の確認や、本人や家族の生活の困りごとや願いをディスカッションで引き出して、改定京都式オレンジプランに反映させることが検討されています。
本人の評価の際には、本人が回答しやすくなるような質問内容を定めたり、回答を引き出せる様な協力者のサポート方法、また回答できない場合の代替方法などが統一できるようにマニュアルが作成されています。
【質問例】
・周りの全ての人が認知症を正しく理解してくれている
・周りの人は、私らしさや私のしたいことをいつも気にかけてくれている
・私は、診断される前と同様、活動的にすごしている
・私は、家族や社会に迷惑をかけていると気兼ねすることなくすごせている
このように、本人・家族・支援者の想いや意見をしっかりと評価するところまで施策に組み込むことが、より認知症の方が地域で安心して暮らし続けることができるまちづくりに繋げるポイントになりそうです。
参考資料
・京都式オレンジプラン
・京都式オレンジプラン「10のアイメッセージ」評価協力者マニュアル(案)
・認知症の人の視点を重視した生活実態調査及び認知症施策の企画・立案や評価に反映させるための方法論等に関する調査研究事業 報告書
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