高齢者に対する介護予防において、運動習慣は重要な役割を果たしており、定期的な運動は自立生活の向上、有病率や死亡率の減少、認知症やうつ病の予防になることが示されています。
しかし、現在は介護予防事業が展開される中で、実施期間が限定されていたり、定期的に運動が行える場がまだ少ない事が課題として挙げられています。
また、定期的に運動が実施できる場があっても、離脱することを防いで継続して出席できる仕組み作りも必要になってきます。
医療介護専門職が地域へ関わる際には、介護予防事業の運営や高齢者サロンの運営のサポートを行う場面もあるため、継続した事業を行う要素を把握しておく事も必要になります。
今回は介護予防事業において出席率を高めるにはどのような要素があるかをご紹介したいと思います。
介護予防事業への出席率を高めるには、以下のことが重要と考えられています。
介護予防事業への出席率を高めるには?
①参加人数が多くなりすぎないこと(25名以下)
介護予防事業の参加人数が多いプログラムほど出席率が低くなることが示唆されているため、人数設定が重要になる可能性があります。
(photo by Fotolia)
②参加者の行動変容を促す技法を数多く取り入れること
従来からよく行われている、欠席者への電話サポート、実施施設への送迎など の支援者側の参加促進の援助に加えて、セルフモニタリングやソーシャルサポート、目標設定などの参加者の行動変容を促す技法を数多く取り入れること。
介護予防事業で使用される施設の利用頻度は、当該施設までの距離が短いほど、また利用可能な交通手段が豊かであるほど多いことが明らかにされているため、適切な実施場所の選定と、送迎サービスが提供できるような仕組みを作ることが、出席率を高める有効な手段の一つといえます。
また、健康行動の継続や定着に対する支援方策として、ソーシャルサポートの提供や目標設定、セルフモニタリングなどの行動変容技法の有効性が報告されています。
更にプログラムへの出席率はプログラムの工夫の合計数と有意な関係が認められたことから、できるだけ多くこれらの技法を取り入れることがプログラムへの出席率の改善につながる可能性があります。
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おわりに
以上のことから、環境設定や目標設定や行動変容につながるような仕組みを組み込むことで、出席率を維持しながら効果判定を行う際にも有用となるため、介護予防事業や高齢者サロンに関わる際には、これらのことを念頭において仕組みを考えていけると良いですね。
参考資料
高齢者のQOLを支える運動開始・継続を促す健康づくり・環境実態調査事業
記事提供
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