いきなりですが、介護予防の定義はわかりますか?
「高齢者が要介護状態になることをできる限り防ぐ(遅らせる)こと、そして要介護状態にあってもその悪化をできる限り防ぐこと」と定義されています。
従来の予防は、どちらかと言えば心身機能や生活機能を重視してきました。
一方、これらの介護予防の概念に加えて、「もうひとつの予防」として、地域や社会に参加し、住民が「つながる」状態に向けた支援が注目されています。
本日はその支援をご紹介しようと思います。
(photo by Fotolia)
もうひとつの予防、「ゼロ次予防」
介護予防を効果的に進めるためには、本人の自発性に基づく取り組みが重要なため、一次予防~三次予防、「もうひとつの予防」のそれぞれにおいて、本人への働きかけは介護予防の基本です。
しかし、本人の自発性は、その人の生活環境からも影響を受ける場合があることが知られています。地域環境の改善や社会環境の整備・改善によって、本人が動機づけられる場合もあります。
たとえば、地域の中に通いの場が多数つくられ、地域住民がボランティアとして積極的に参加するような雰囲気や役割、多様な選択肢が地域の中に生まれれば、本人が通いの場に 参加する機会が増えるといったことが考えられます。
また、地域の相談窓口や気軽に相談できるような拠点の整備により、自らの健康や生活についての関心が高まるといった効果も期待できます。
こうした一次~三次予防、「もうひとつの予防」の前提となるような社会や地域の環境改善を、「ゼロ次予防」として位置付けています。
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制度の醸成や雰囲気も大事になる
また、65歳を超えても、心身が元気なうちは働き続ける人が増えてくれば、就労人口の急速な減少を回避できるだけでなく、担税力のある高齢者の増加で財政面でもプラスになるでしょう。
定年後の再雇用等の社会制度や地域でのボランティア活動が普及し、地域社会の中で何らかの役割を果たすといった生活が当たり前になることで、一人ひとりの生活のスタイルが変化し、社会全体として団塊の世代および、それ以降の世代の虚弱化を遅らせることに貢献する可能性です。
こうした社会制度や社会的な雰囲気の醸成もまた「ゼロ次予防」と考えられるでしょう。
(出典:厚生労働省)
おわりに
このようにリハ職は心身機能や生活機能を重視した従来の予防法に加えて、地域環境の改善や社会環境の整備・改善等を行う、もうひとつの予防「ゼロ次予防」での関わりも必要となってきます。
参考文献
・平成28年度 老人保健事業推進費等補助金 老人保健健康増進等事業 地域包括ケアシステム構築に向けた制度及びサービスのあり方に関する研究事業報告書
記事提供
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