「地域診断」を実践した事例から考える

2017.3.16 在宅医療, 在宅介護
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hosokawa

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今までの投稿では、

『地域診断には統計資料等を参考にした「客観的情報」と、地域に出向き地域視診や住民へのヒヤリングを行うことで得た「主観的情報」に基づくアセスメントが必要』

ということをお伝えしました。

今回はそのようなアセスメントからみえた健康課題に基づき、地域保健活動の立案を行った事例を紹介します。

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 事例:市民ひとりひとりの介護予防への意識の高揚「介護は予防できる」

《地域の概要》

○人口約6000人規模の地域。高齢化率は35%と高く、7年間で男女合わせ400人減少している。(地域概要)

○基本チェックリストによると認知症、うつ、閉じこもりが高い。(健康・疾患状況)

○交通機関は2時間に1本のバスがある。スーパーは1箇所であり、小売店、移動販売店がある。(生活環境・暮らし)

○豪雪地帯ということもあり、冬場は転倒を恐れて外出せず自宅内に閉じこもる高齢者が増加している。(地域視診)

○認知症の地域理解が乏しい。家族は本人が認知症であることを隠している場合が多く、重度になってから支援が始まるケースが多い。(住民ヒヤリング)

 

《地域の健康課題》

○閉じこもり高齢者が増加する危険性がある。

➡二次予防事業対象者367人に対して介護予防参加者は31人と少ない。

○早期からの介護予防対応が実践し難い状況にある。

➡交通手段が限られており教室に参加出来ない高齢者がいる。

○認知症者が増加・重症化している。

➡認知症に対する認識(予防意識も含め)が浸透していない。

 

《地域保健活動の立案》

○介護予防サポーターの活用と協力体制の整備により歩いて参加できる地区単位での教室開催

➡住民ボランティアを活用し、アクセシビリティの向上を図る。

○認知症の予防対策

➡認知症に対する理解を深める。

 医療・介護従事者こそ地域診断をすべき

このように地域診断を実践する事で、保健活動実施上の課題・活動の全体像がわかり、事業の優先度も明確になることがわかります。

私たち医療・介護従事者はただ「地域で活動したい」、「認知症・転倒予防を実践したい」と言うのではなく、

「地域の健康課題として転倒、認知症の割合が高いことがあげられるため認知症・転倒予防を実践したい」

と、言えるように地域診断を実践していく必要があります。

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