「介護保険を卒業した後に、どのような、サービス・支援体制を構築すれば健康に生活できるだろうか?」
こうした疑問は利用者に真摯に向き合っている医療介護従事者の誰しもが思うところです。
今回はこの点に関して事例を踏まえて考えていきます。
”一般的ではない”ケアプラン
W市の高齢者は、人口8万人に対して、1万3千人。
全国の高齢化率26%に比べると低いが、今後10年で介護を必要とする人は倍増すると予測。
身体機能が改善できる人たちの自立を促す支援を積極的にすることで、毎年、要支援認定者の4割以上が介護保険を“卒業”しているそうです。
一般的に、要支援状態の人が介護サービスを受けたいと思ったら、1日30分ヘルパーに来てもらう、または、お風呂に入るためデイサービスに通う、というケアプランを提示されることが多いが、W市は違います。
いったい何が違うのでしょうか?
体調が回復する見込みがあれば、機能回復訓練(リハビリ)をするプランを立案。
骨折などのケガや病気で入院しても、自分らしく生活し続ける体力を取り戻させる点が異なります。
オーダーメイド型支援で卒業後もサポート
同市は、「オーダーメイド」型のきめ細かい支援をしています。
その前提となるニーズを知るため、65歳以上の市民を対象に独自の「日常生活圏域ニーズ調査」を、介護保険法が施行された後の03年度から毎年実施。
アンケートと訪問聞き取りの結果を分析し、高齢者が本当に望むサービスを把握しています。
介護予防事業にも積極的です。
運動や栄養改善、認知症予防や口腔ケアまで、バラエティーに富んだ無料のプログラムを23項目そろえました。
利用者たちは、介護保険の“卒業”後もほぼ同じ内容のサービスを利用できます。
介護保険では1割負担だったのが「卒業」後は無料になるため、「ただになる」のを励みに高齢者に頑張ってもらおうという仕組みでもあります。
おわりに
介護保険は利用者が増えると、自治体の財政を圧迫します。
要介護度が軽くなる、または進まないようにして、自立して生活することは、高齢者本人にとってだけでなく、コストを抑えたい自治体にとってもメリットになります。
参考資料
東内 京一、宮下 久美子:埼玉・和光市の高齢者が介護保険を卒業できる理由
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