ケアマネジャーとして担当している方とお話していてよく聞かれるのが

「うちで生活できなくなったらどこか入らんなんわ。入りたくないけど今から順番ついとかんなんかね？」
「お年寄りの施設にはまだまだ入りたくないし、元気でおらんなんわ」

という言葉。

多くの方は「入りたくないところ」という印象が強いようです。

実は私自身もできれば入りたくない…と思ってしまう。それは一体なぜでしょうか。

高齢者の入居施設の一日はどんな生活？

なんとなくのイメージはあると思いますが、実際にはどんなことしてるの？と思う方もいらっしゃいますよね。

だいたい大まかに書いてみると…

８時頃に皆さんで一緒に朝食を食べ、10時には体操などのレクリエーション、12時頃には昼食を食べ、14時からはレクリエーションもしくは入浴、ちょっとお昼寝して18時頃には夕食を食べ、20時頃には就寝

…といった感じです。

そうではない施設もあると思いますが、大体の施設はこういった日課です。

レクリエーションってなんだ？？

さて、この高齢者施設でよく行われているレクリエーション。レクリエーションと言えば、毎日行われるものと季節の行事として行われるものと大きく分けることができます。

季節の行事・誕生会では地域のお店に買い物に行ったり行事に参加したり、春にはお花見、秋には紅葉狩りに出かけたり、冬になれば施設内で餅つきや豆まきがあります。この季節の行事は本当に楽しいんですよ、みんなでワイワイと非日常的な雰囲気や環境だからこそ気持ちも盛り上がります。

私も施設の介護士、相談員をしていたころ、こういった行事をたくさん行ってきました。こういった時間は高齢者も介護士も本当にいい笑顔になりいい時間でした。

一方、毎日のレクリエーションでは、認知症の予防にと頭を使う計算問題やパズル、手先を使う製作活動や体を使った体操が主に行われています。

そう問題はこのレクリエーション！

多くの方が施設に入りたくないと思われる原因はこの毎日のレクリエーションにあるのではないかと思います。

生活に本当に大切なことは？

認知症や身体的な疾患を抱えた方にとって、その状態に応じた運動は必要だと思います。専門用語でいうとリハビリ。リハビリは生活リハビリや機能的リハビリなどがあり、どの方でも必要性は高いように思います。

しかし、このレクリエーション。はたして入居者は毎日必要なのでしょうか。

私たちは毎日の生活の中で選択と自己決定を繰り返しています。その選択権が入居者にはない…ほぼ毎日の生活がレクリエーション。きっとこれが問題なんだろうと思います。

レクリエーションが悪いというわけではありません。毎日決められたように行われるこのレクリエーションによって、入居者は過ごし方に選択できないことが問題なんです。

まさにこの印象が強く、施設には入りたくないと思われる方も多いのではないでしょうか。

今後の施設はこのレクリエーション、というよりも日中の過ごし方が課題だと思います。

ズバリ！特別養護老人ホームの大切な視点とは…
「どのような状態になっても過ごし方は自由であること」

行きたいところへ行ける。食べたいものを食べる。会いたい人と会える。

必要とされる場所があり、社会参加が可能であること。

認知症であっても、例え体が動かなくても個人個人の生活スタイルに合わせて支援してくれる施設であってほしい。

一人一人の思いをくみとり、その方にあった支援をしてもらえること。

きっとその解決のために施設にはプロの介護士がたくさんいるんですよね(^^♪

今後、求められる過ごし方とは？

地域包括ケアシステムという考え方が導入され、どのような状態になっても地域で生活し続けることが可能な世の中を目指している今、もはやこれまでの介護の常識が通用しなくなることも多くなってきます。

今までしていたから…これが普通だから…という理由で継続されがちな施設の生活を「本当にこれでいいのか」と振り返り考える。

そして一人一人の高齢者の本来の生活のあり方を考えていく。

年を重ねて出来なくなるのではなく、年を重ねても今までの生活を送るには施設はどうしたらいいのだろうと考え、常に挑戦していく。

そうすれば地域から閉ざされがちな今までの施設スタイルが変わっていくのではないでしょうか。

行政や地域の方々と交流する機会を持ち、地域に溶け込んだ施設になる働きかけと工夫がますます必要です。施設には想いを持った素敵な介護士がたくさんいます。

今後は一人でも多くの方に「あんな施設なら入ってもいい！」「老後は安心できる！」「楽しい老後が待っている！」と思ってもらえる、素敵な施設が増えてほしいなぁと思います。