今さら聞けない!「認知症施策推進総合戦略〜新オレンジプラン〜」とは?

2017.3.23 在宅医療, 在宅介護
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みなさんは「認知症の方にとっても住みよい街」とはどのような街か考えたことがありますか?

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新オレンジプランとは

高齢者の4人に1人が認知症もしくはその予備軍であると言われていますが、その多くの人は病院や施設で暮らすのではなく、地域の中で暮らしています。

今までの認知症施策は認知症の人を支えるという視点に偏りがちでした。

しかし今後認知症およびその予備軍の人の増加に伴い、認知症の人が単に”支えられる側”としてではなく、”認知症とともによりよく生きていくことができる”ような地域づくりが求められています。

そのため『認知症の人の意思が尊重され、できる限り住み慣れた地域の良い環境で自分らしく暮らし続けることができる社会の実現を目指す』ことを基本的な考え方とした『新オレンジプラン』が策定されました。

主な施策として、以下のように『七つの柱』があります。

新オレンジプランの七つの柱

【① 認知症への理解を深めるための普及・啓発の推進】

認知症の人が自らの言葉で語る姿を積極的に発信したり、地域の誰もが認知症のことを知り正しい関わりができるように認知症サポーターの養成がされています。

【② 認知症の容態に応じた適時・適切な医療・介護等の提供】
早期診断・早期対応のための体制づくりとして、認知症初期集中支援チームの設置、認知症サポート医の養成、認知症疾患医療センターの整備が進められています。

【③ 若年性認知症施策の強化】
若年性認知症者は全国に4 万人近くいると言われており、就労や生活費等の経済的な問題を抱えています。そのため、医療機関や市町村窓口等では、“若年性認知症支援ハンドブック”を配布し、普及啓発・早期診断・早期対応を働きかけます。

【④ 認知症の人の介護者への支援】
認知症の人やその家族が、地域の人や専門家と相互に情報交換をし、お互いを理解し合う認知症カフェなどの設置を推進して、認知症介護者の負担軽減を図ります。京都では特に先進的に行われています。

【⑤ 認知症の人を含む高齢者にやさしい地域づくりの推進】
買い物弱者への宅配サービス(ソフト面)、サ高住の建設(ハード面)などを行い、生活支援がなされています。また徘徊者を地域で見守る体制整備も進められており、福岡県の大牟田市では子供から高齢者まで多くの市民が参加し、先進的に行われています。

【⑥ 認知症の予防法、診断法、治療法、リハビリテーションモデル、介護モデル等の研究開発及びその成果の普及の推進
未だ確率された治療法がないため、認知症の病態等の解明を進め、根本的治療薬や効果的な症状改善法、有効な予防法の開発を目指しています。

【⑦ 認知症の人やその家族の視点の重視】
これまでの認知症施策は認知症の人を支える側の視点に偏りがちであったという観点から、認知症の人やその家族の視点が特に重視されました。京都式オレンジプランでは、認知症者の視点に立った“すごしやすさ”の評価指標として、『10のアイメッセージ』が使われています。

厚生労働省 新オレンジプラン 引用

なお、新オレンジプランは、厚生労働省が、内閣官房、内閣府、警察庁、金融庁、消費者庁、総務省、法務省、文部科学省、農林水産省、経済産業省及び国土交通省と共同して策定されています。

 おわりに

認知症高齢者等にやさしい地域の実現には行政、民間、地域住民など様々な主体がそれぞれの役割を果たしていくことが求められています。

その実現の先には決して認知症の人だけにやさしい地域ではなく、困っている人がいればその人の尊厳を尊重しつつ手助けをし、地域を再生するという視点でもあります。

今後、医療従事者は医療・介護の連携に留まらず、地域で共に働いている様々な関係機関と連携し、認知症高齢者等の日常生活全体を支えるよう取り組んでいく必要があります。

記事提供

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