2回にわたって、「認知症カフェ」についてご紹介しております。
2回目の今回は、認知症カフェの会場にもなっている石川県金沢市の「ライブラリー&カフェスペース『リハス』」を取材してみました。
目次
開催場所はどんなところ?
石川県金沢市にあるライブラリー&カフェスペース「リハス」。
この認知症カフェは大変特徴的な点があり、
障がい就労施設の障がい者の方々が運営しているカフェだそうです。
ライブラリー&カフェスペース「リハス」で働く障がい者の方は日々以下のような仕事に取り組んでいるとのこと。
- 接客・販売
お客様と接して、ドリンクやフード、雑貨、ハーブ商品などを売り上げます。
- 調理
お客さんの注文を聞いて調理します。また「仕込み」があり、あらかじめシロップなどは調理し用意をしておきます。
- 企画
新しいメニューや新しいプロジェクト・事業などを企画します。カフェ運営に関するルールを企画することも。
- ホウレンソウ
日々の発見やひやり・はっと、疑問点などを報告・連絡・相談します。
- デザイン
ポスターやチラシ、カレンダー、メニュー表などをデザインします。お客様に見せるものだけでなく、自分たちが使う伝票や帳簿などもデザインします。イラストレーター・フォトショップ・ワード・エクセル・パワーポイントをフル動員です。
- ブログやFacebook、メールアドレスの管理
- 清掃
- 物品の管理・在庫管理
- ミーティング
障がい者さんらは実にのびのびと働いているようです。
それは、このカフェを運営している金沢QOL支援センターグループの方針によるものです。
「社会への価値=皆の幸せ」
「人がヒトを幸せにし、ヒトが人に幸せを与えます。」
当然、障がい者も人であり、人を幸せにする可能性と権利、そしてその強みを持っていると金沢QOL支援センターは考えています。
また金沢QOL支援センターは行動方針を次のように掲げています。
- 例え現状では身体的・精神的に不可能な物事でも、ご利用者様自身で可能になるよう援助します。
- 様々な出来事を自発的に自立して行うことができるよう、ご利用者様の自尊心・自主性・自己有能性を100%尊重し、治療、介助すべき点を適切に見極め、質の高いサービスの提供を実施します。
そういった方針の会社だからこそ、認知症カフェで働く障がい者さんの可能性を信じ、障がい者の自尊心・自主性・自己有能性を大切にしてくれて、それが障害者のQOL向上へとつながっていくのですね。
まさに、共存、共栄、共助 です。
「認知症カフェ」の開催場所として
そんなライブラリー&カフェスペース「リハス」ですが、
イベント開催時に障害者、高齢者とそのご家族、地域住民が出会い、親睦を深めています。
障害者も高齢者も社会で孤立しやすい存在です。
地域医療という言葉が聞かれるようになって久しいです。
地域医療とは、病院などの医療機関での治療やケアの枠組みにとらわれず、地域住民の健康を地域全体で支える医療体制のこと。
地域医療の重要性は高まっています。
ライブラリー&カフェスペース「リハス」に障害者、高齢者とそのご家族、地域住民、専門家が集うことには大きな意味がありそうです。
認知症カフェの様子
認知症カフェ・スタート
2016年7月27日午前10時―。
18名(途中で2名加わり総勢20名)でライブラリー&カフェスペース「リハス」にて認知症カフェが開催されました。
店内はぎゅうぎゅう詰め!
椅子の数もぎりぎりの大盛況ぶりです。
高齢者の方たちは、皆様とってもお元気!中には90代の常連の方も見受けられます。
認知症というよりも、認知症の予防の為にいらっしゃってる方が多いようです。
また、友達に誘われたから初めて来たという高齢者の方もおいでました。
ご家族と一緒にいらっしゃった方も。
講義
主催者である地域包括支援センターのご担当者さまが司会・進行して、
1時間ほど、認知症について学ぶ講義があります。
毎回講師は変わります。
皆さん、積極的に発言されて楽しそうです。
講義によっては、体操をしたり、絵をかいたりするものもあります。
そのようなときはカフェの店員の障がい者も仲間に加わることがあります。
フリータイム
お菓子を食べてドリンクをおかわりしながらフリータイム。
地域包括支援センターの方たちも輪の中に加わります。
店内は賑やか!
見ているカフェの店員も笑顔です。
解散
皆様お気をつけて〜!
「皆に会えてよかった」「来てよかった」と言って帰られる方もおいでました。
「これからみんなでお昼を一緒に食べるの」という方も。
地域住民の理解やネットワークの重要性
「地域包括ケアシステム」の概要は前回ご説明した通りですが、
それ以外にも、地域住民の理解やネットワークの重要性を感じる場面があります。
例えば、地震などの災害や身に危険が迫ったときに、高齢者や障害者、貧困に苦しむ方たち、身体の弱い女性や子どもなどは、身近な人に救いを求めるでしょう。医療や介護、福祉などのサービスも、自宅から近いという理由で選ぶ方が多いはずです。
それを思うと、地域におけるネットワークや地域住民の理解が欠かせないのは容易に想像がつきます。
地域住民の理解と協力があってこそ、高齢者や障害者、貧困に苦しむ方たち、身体の弱い女性や子どもが孤立せずに生活していけるのです。
そういった方たち(ー高齢者や障害者など)と地域住民が集える場所が今後ますます拡充されることを祈ります。
認知症カフェ、オレンジカフェはその地域ごとの、地域包括ケアシステムの一助をますます担っていくことでしょう!
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