生活困窮者自立支援制度から考える「子どもの貧困と健康支援」

2017.8.19 在宅医療・介護用語, 在宅医療, 在宅介護
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本日は、今後増加が見込まれている「生活困窮者」についての制度、「生活困窮者自立支援制」を整理します。

 

生活困窮者自立支援制度とは、生活困窮者自立支援法(平成25年法律第105号)の施行に基づき、平成27年4月より新たに実施されている支援制度です。

 

この制度では、生活保護に至る前の段階の自立支援策の強化を目的としており、失業や就職活動の行き詰まり等の事情で経済的な困窮状態に陥っている者(生活困窮者)を対象に、自立支援に向けた相談事業を行います。

(photo by Fotolia)

生活保護制度との違いとは?

自立相談支援事業では、生活困窮者からの相談を受け、

① 生活困窮者の抱えている課題を評価・分析(アセスメント)し、そのニーズを把握

 

② ニーズに応じた支援が計画的かつ継続的に行われるよう、自立支援計画を策定

 

③ 自立支援計画に基づく各種支援が包括的に行われるよう、関係機関との連絡調整を実施等の業務を行います。

 

そして、具体的には居住確保支援、就労支援、緊急的な支援、家計再建支援、子ども・若者支援等を必要に応じて実施していきます。

 

生活保護制度との違いは、生活保護制度は、生活に困窮する国民に対する最低限度の生活の保障と自立の助長を目的としており、生活扶助、住宅扶助、医療扶助等による給付制度であります。

 

一方、生活困窮者自立支援制度は、生活困窮者が生活保護の受給に至らないように自立を支援する制度であり、基本は現金給付ではなく、経済的・社会的な自立に向けた相談支援の提供になります。

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子どもの学習支援について

今回は、『子どもの学習支援等』について、いくつか情報をピックアップします。

 

以下は、子どもの貧困に関する調査結果です。

 

▷子どもの貧困率 18 歳未満の子どもで 15.7%(2010 年 OECD 加盟 34 カ国中 25 位) (2009年厚労省データ) (OECD(2014)データ)

▷ひとり親世帯での貧困率 50.8%(2010 年 OECD 加盟 34 カ国中 33 位)

▷生活保護世帯の子どもの高等学校等進学率 90.8%(全体 98.6%) (2013 年厚労省/文科省データ)

 

所得は身体的健康だけでなく、うつの有無など精神的健康にも影響すると言われており、これらの報告からも、日本では経済的要因による健康格差があることが分かります。

 

ひとり親家庭・多子世帯等の自立を応援するため、自治体のワンストップ窓口の整備、子どもの居場所づくり、児童扶養手当、子どもの学習支援や親の資格取得支援など、各種施策を組み合わせて効果的に支援していくことが求められます。

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おわりに

私たち医療専門職が、高齢者から子どもまでを含めて幅広く地域を支援していく上では、身体的な側面だけでなく、地域住民の心理社会的な側面にも着目した健康支援をしていく必要があります。

参考資料

・子どもの貧困対策における生活困窮世帯の子どもの学習支援等.生活困窮者自立支援制度 全国担当者会議資料 近藤克則: 社会経済的要因による健康格差

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