平成30年の同時改定で通所介護(以下、デイサービス)におけるリハビリ専門職の立ち位置はどう変わるのか?
平成30年度の診療報酬・介護報酬同時改定では、デイサービスにおいても高齢者の自立支援のための「機能訓練」を積極的に取り入れていく可能性が高まっているようです。
これはリハビリ専門職にとっては新たな領域を開拓できる可能性があります。
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デイサービスの役割ってそもそも何?
厚生労働省によると、デイサービスとは、
『利用者が可能な限り自宅で自立した日常生活を送ることができるよう、自宅にこもりきりの利用者の孤立感の解消や心身機能の維持、家族の介護の負担軽減などを目的として実施する』
とされています。
しかしデイサービスは通所リハビリテーション(デイケア)と比較すると「介護する家族の負担軽減」の要素が強い背景がありました。
デイサービスにおける機能訓練に対する報酬・加算については「個別機能訓練加算」があります。
しかしその算定には以下のような条件がありました。
①個別機能訓練加算Ⅰ
常勤・先住の機能訓練指導員を1名以上配置し、複数の種類の機能訓練の項目を準備し、他職種が共同で個別機能訓練計画を利用者ごとに作成し、身体機能向上を目指すことを中心に機能訓練を提供する
②個別機能訓練加算Ⅱ
専従の機能訓練指導員を1名以上配置し、他職種が共同で個別機能訓練計画書を利用者ごとに作成し、生活機能向上を目指すことを中心に機能訓練を提供する
*詳細はコチラから:デイケアとデイサービスの違いって何なの?
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機能訓練に成果が求められる時代に
ここでいう機能訓練指導員とは、理学療法士、作業療法士、看護職員、柔道整復師、あんまマッサージ指圧師を指し、個別機能訓練加算の算定にはこれら機能訓練指導員が常駐・専従する必要があるといった人員要件があり、人員確保に難渋する事業所も多いようです。
実際に厚生労働省の調査結果によると、通所介護の「個別機能訓練加算」において、「加算(I)」で全体の23.4%、「加算(II)」で35.5%の取得にとどまっていると報告されており、個別性のある機能訓練の提供に至っていない可能性が高いです。
より一層自立支援を促すために、平成30年(2018年)に介護保険制度・介護報酬制度の改正では、機能訓練指導員について、一定の実務研修を積むことではり師・きゅう師でも担える方針を検討していることや外部のリハビリ専門職と連携した場合でも報酬が出る予想がされています。
また、アウトカム評価による介護報酬体系が導入されていくため、機能訓練やリハビリテーションをやれば良い時代から、機能訓練やリハビリテーションの結果、どの課題がどのように解決されたかという結果が求められる時代に変わっていきます。
こうした背景から、リハビリ専門職がより生活期や地域に求められる時代になるのではないかと考えます。
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参考資料
厚生労働省:第153回社会保障審議会介護給付費分科会資料
厚生労働省:参考資料 通所介護及び療養通所介護
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