作業療法士になり博士号を取得した訳【Part 3:最終回】

2016.5.25 キャリア, ライフスタイル
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博士号取得までの経緯について、取得によって得られたと感じたこと等を発信し、少しでも検討している方の一助になることを目的とした記事です。

○ 作業療法士になり博士号を取得した訳【Part 1】は、こちら

○ 作業療法士になり博士号を取得した訳【Part 2】は、こちら

 

リハビリ関係者・医療者が一人もいない大学院へ

国際学会のために、卒業論文と同じテーマで再計測をすると同時に、脳の研究に取り組むために大学院への進学準備にも取り掛かっていました。私は、私に脳の基礎から教えてくれた恩師の勧めもあり、慶応義塾大学大学院の修士課程へ進学することになりました。

進学先の研究科、及び学内には、医療関係者・リハビリテーション関係者は一人もいませんでしたので、詳細をお話ししなかったリハビリの大学の先生方には、「何になるの?何するの?」と心配に近いお声を頂いたこともありました。

 

ただ、脳について学び、研究に取り組む環境があることが一番重要なことだったので、「やりたいことを突き詰めたいので」と返答していまいした。

 

実際に、進学してみると週に数時間の講義を受けて単位を取得する必要がありますが、スポーツ関係を専門にしている先生、自然言語処理を専門にしている先生などリハビリテーションという分野ではなくても、人間の行動やパフォーマンスを科学することの専門家は集まっており、大学時代よりも詳しい多面的な情報を得られる!という印象が強くありました。

 

この時思ったことは、「リハビリテーションの枠に縛られ過ぎることはない」ということでした。

 

人についての知見を深めていく時に、人を科学しようとしている分野であれば、何かしらリハビリテーションに役に立つということ、そして、場合によっては、リハビリテーションの学校で学ぶことよりも、深く、詳細に知ることができる、知見を広げられる分野があることです。ブレイクスルーは分野外の人によっておこされるように、全く違う分野にでる事で、新しい視点を見つける機会になるということです。

 

リハビリテーションの大学院だけに絞らず、やりたいことができる環境が揃っている大学院を選ぶことも視野に入れておいてもよいと思います。

 

博士課程は、リハビリの大学院へ

といっても、博士課程では、リハビリの研究科がある大学院へ進学にしました。その理由は、リハビリに研究の結果を活かしたいと考えたとき、やはりリハビリのことを知っている先生方とディスカッションをしたいと考えたからでした。

 

結果として、大学、大学院前期、大学院後期と全て違う学校へ通い、様々な先生との出会いに恵まれ、無事に学位を修めることが出来ました。

 

「やりたいことが出来る環境・設備があるところへ行く」

これが一つの進路を決めていく上で大切かも知れません。

 

 

大学院修了までを改めて振り返って

大学院の学位を修め、改めてなぜ大学院に進学したかを振り返ってみると、単純に「臨床で疑問に思ったことを突き詰めたいということ」が第一にはありました。それは、自分と出会った対象者の方に、少しでも良い介入を提供できる人になるために、分からないまま放置することわ良くないと考えたからです。

 

しかし、大学院のための時間を割く分、臨床の時間が減ることは、正直怖かったです。
臨床の重要性を専門学校の頃からずっと授業で耳にして、
臨床現場を通じて臨床だから気付けること、臨床で学べることが多くあることを分かっていたからです。

 

ただ、自分が取り組まず、他人がやってくれる可能性はほぼゼロです。
そして、広い視点で考えれば、療法士の介入を科学で捉えることができれば、リハビリテーションそのものの底上げに繋げることができます。

 

一人の人生に関わる仕事であり、目の前の方への介入を大切に介入することには、言うまでもありません。しかし、療法士の介入を科学にして、その介入の意味を積み重ねて共有の財産にしていくこともまた重要ではないかと思います。

 

科学を学ぶことは、必ずしも大学院へ行かなくてもできるのかもしれません。
病院で臨床をしながら、研究に取り組み素晴らしい発表をされている先生がたも沢山います。
ただ、私は大学院で、科学的に捉える、科学的に内容を伝えることのトレーニングをさせてもらいました。科学的に情報を捉えてコメントをして下さる先生がそばにいなければ、このことを学ぶことはできません。

 

そして、科学的に内容を伝えることは、「他者へ配慮すること」でもあることも学びました。情報を共有の財産にするためには、どんな人にも理解できるような書き方、伝え方をする必要があるからです。そのことに気づけたことでも、大学院で学んだ意味があったと思いますし、今後の研究だけでなく、臨床にも活かせることではないかと考えています。

 

大学院に進学し、博士号を取得する決意は、私にとって一つのターニングポイントになりました。
大学院に進学しなければ、今はどんなスタイルで活動していたのかわかりませんが、大学院に進学したからこそ、研究、臨床、Pilatesなどを通じて多くの方と出会い、活動できたと思っています。

 

自分の明確なテーマが決まっているのなら、大学院で多くの事が得られると思います。進学を考えている方は、自分のテーマに取り組める学校の抽出から始めてみることをお勧めします。

 

乱文ではありますが、私の大学院修了までのプロセスの一部がお役にたてば幸いです。
有難うございました。

 

○ 作業療法士になり博士号を取得した訳【Part 1】は、こちら

○ 作業療法士になり博士号を取得した訳【Part 2】は、こちら

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