こんにちは、いつも釣りの事ばかり考えている理学療法士フィッシャーマンです。
私が訪問看護(リハビリテーション)に携わって、はや6年目になります。
理学療法士としての約半分を訪問に携わっていることになります。
新卒で病院の急性期・回復期で勤務し、訪問看護ステーションに勤務して現在に至っていますが、
自分もそうであったように病院勤務のリハビリテーション職にとって、
訪問看護(リハビリテーション)は未知の分野ではないでしょうか。
そんなリハ職の皆さんにとって、この記事が参考になればと思います。
目次
訪問リハビリテーションに携わった当初の捉え方
病院勤務時代、自分が担当していた患者様が退院される際に、
訪問リハビリテーションスタッフへ情報提供のための書類を作成し送る機会が度々あったのですが
「現状で○○することができます。
在宅でも維持できるようにご加療お願いいたします。」という書き方をしていました。
そのころの私だけでなく、現在でも在宅でご利用者様を担当する際に、
病院からの情報提供の書類にも先のような記載が多くみられています。
このことより、多くのリハビリテーション医療従事者が
訪問リハビリテーションは「回復」ではなく「維持」に徹する
と考えているであろうと推察されます。
現に、訪問リハビリテーションに携わった当初の私はそのように捉えていました。
訪問リハビリテーションが間違って捉えられた背景
在宅でのリハビリテーションは主に介護保険を利用して提供されます。
その中で、多くの割合を占めるのが脳卒中後遺症を抱えたご利用者様です。
脳卒中の訪問リハビリテーションに関して、
間違った捉え方をされるようになった背景には「6か月の壁」というものが存在します。
「6か月の壁」とは、脳卒中後遺症による麻痺が生じた場合、
6か月以内は機能が回復するが、6か月以降は回復が望めないという考え方です。
この考え方に基づくと、訪問リハビリテーションが入院リハビリテーション(回復期リハビリテーション)の延長にあるとした場合、回復期リハビリテーションを6か月経て退院したご利用者様の機能回復は、訪問リハビリテーションでは望めないということになります。
以上が訪問リハビリテーションは「維持」に徹すると捉えられるようになった背景であると考えられ、
現在でも、回復期以降の病期を「維持期」と呼ばれることが多々あります。
訪問リハビリテーションの現場で感じた事実
退院後、在宅復帰したご利用者様を訪問リハビリテーションで担当した時、
病院からの情報提供の内容とはかけ離れた生活をしていることを目の当たりにします。
病院で行っていたはずの日常生活動作が全く行われておらず、
自宅でほぼ動かない生活をしているではありませんか。
なぜこのような事態が起こるのでしょうか?
その答えは簡単です。
それは、「病院は実生活の場ではない」ということです。
病院で多くの職員に24時間サポートされ、
バリアの少ない院内の整った環境でリハビリテーションを受けています。
それが、自宅に戻った瞬間、1人での生活時間が増え、バリアだらけの環境になり、
病院と同じ様には生活できないのです。
訪問リハビリテーションには何が求められるのか
前置きとして、リハビリテーションの治療は、
- 麻痺や筋力に対する「心身機能・身体構造」への治療
- 動作能力や日常生活動作能力に対する「活動」への治療
- 家庭内もしくは社会的役割に対する「参加」への治療
大きく分けるとこの3つになります。
先に述べたように、訪問リハビリテーションが機能的治療であるならば、「維持」ということになるでしょう。
しかしご利用者様は、在宅復帰すると自宅と病院のまったく異なる環境で、
病院生活よりも能力を低下させていることが多々あります。
病院とは異なる自宅という環境での動作能力・生活動作能力に対する治療であれば、
「維持」ではなく「回復」が目標になります。
将来の訪問リハビリテーションに望むこと
話は多少離れますが、理学療法の臨床実習の学生指導をしていると、レポートに次のような文献引用をしています。
「脳卒中発症後、6か月が過ぎても、日常生活動作の向上は見込める」
まさに正答ではあるのですが、
実習生のみならず、現場のリハビリテーション職の多くはこの文章の意味を理解していないように思います。
在宅生活を送るご利用者様・患者様にとって、訪問リハビリテーションは在宅生活機能の向上を目標にするという点で、「維持期」ではなく「生活期」であることを重く認識して頂きたいと思います。
そして、入院リハビリテーションと訪問リハビリテーションをお互いに理解することで、
包括的により良い医療・介護サービスが提供されることを切に願います。
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